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金曜日は濡れていい
六本木 曜
オークラ出版 (2004.10)
通常24時間以内に発送します。
イラスト:DUO BRAND.(アクアノベルス)

雨の金曜日、斉藤理史は志縞のマンションへ向かう。
志縞は理史の勤める地方の観光交通会社に再建屋としてやってきた
男だ。
同じ土地には三ヶ月以上いない。だから人との関わりをできるだけ
避けようとする志縞。
不機嫌な顔で志縞は斉藤を迎え入れるが、彼が留守にしていたことはない。
志縞は何もない部屋で理史にくちづけて囁く。
「さあ、今日はどんなふうに抱いてほしい?」
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志縞悟(しじまさとる・30代初め)×斉藤理史(さいとうさとし・23歳)


経営難に陥った理史の勤める会社に再建屋と呼ばれる男達がやってきます。
そのうちの一人、志縞の顔を見て驚く理史。
志縞は理史が10歳のとき、雪山で遭難しかけたところを助けてくれた
理史の初恋のヒーローだったのです。
けれど志縞は理史の話を聞いても「人違いだ」と言ってと取り合ってくれません。
そんなある日、酔った志縞を介抱し家へと送った理史は、
志縞に無理やり犯されてしまいます。
翌朝「忘れてくれ」と勝手なことをいう志縞に理史は憤り、
「過去のこともその夜のことも絶対に忘れてやらない」と、自分をレイプしたことを
誰にも話さないかわりに、毎週金曜日自分とセックスをしてくれと詰め寄ります。
そうすれば志縞も自分のことを忘れてしまうことはできなくなると考えて。


だいぶ端折ってしまったので↑ではわけわかんないですね(^^ゞ
傷ついた過去のせいでかたくなに愛を否定する男と
傷つくことも厭わず真っ直ぐに愛をぶつける男のお話です。

過去、自分を助けてくれた「オニイチャン」に憧れ、忘れられずにいるうちに
その想いは恋へと変化していました。
再会したものの志縞は冷たく、夢に見た暖かい胸や腕に抱かれても
心だけは手に入りません。
理史がわりと明るくさっぱりとした性格なため、身体だけの関係という救いのない
状態であっても悲壮感のようなものはあまり感じませんでした。
それよりも素直で真っ直ぐな理史の想いが強く伝わってきます。
胸に迫るような切なさ、辛さはたっぷりと感じますが、理史の健気な強さに助けられて
読んでて苦しい~ということにはならずにすみました。

志縞は過去、やはり再建のために訪れた会社で社内恋愛をし、
その恋愛が彼女の心中未遂という形で終わってしまったため、人に想いを寄せられる
ことに恐怖を感じ、自分のしたことへの後悔に苛まれています。
そのために理史を拒否する態度は本当に頑なで、心では理史に惹かれているのに
ラストのラストまで、きちんと受け入れることができないでいます。
理史への言葉には正直言ってとてもキツイものもあるので、
そういう部分は読んでいる方もつらいです。
それでも惹かれていることはわかるし、口にはできない想いも伝わってくるので、
志縞の契約が切れるとき理史が泣きながら「志縞さんのことは忘れます」と
冗談めかしていうシーンは胸に迫ってしまいましたね。
お互いの想いがわかるだけに。
理史は、辛い別れに追いすがることも一切しない健気さなので、
ラストで志縞の方から戻ってきてくれて、なんだかホントにじんとしてしまいました。

理史は泣き虫ですが本当に強い。
傷ついてもしなやかで歪んでいなくて心が健康なんだな~と思います。
ホントに子犬みたいですね。田舎の純粋な青年って感じ。
この健康で健全なキャラのおかげで、爛れた関係のお話も暗いものに
ならなかったんだと思います。

「身体だけの関係」だけど「純愛」のお話でありました。
なかなか良いお話で楽しめました。
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