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4861341957鹿鳴館円舞曲
泉美 アリナ著 / 汞りょうイラスト
フロンティアワークス
ダリア文庫2007-07

by G-Tools

社交界の華、花山院伯爵令嬢・蝶子とその弟で青年将校の尭は、鹿鳴館の舞踏会で一人の魅力的な青年と出会う。生真面目な尭を世慣れた態度で翻弄し、姿を消した瀬年は蝶子の許婚である有馬少尉の異母弟・翔だった。
有馬男爵の庶子で反政府運動に関わる翔との交際を尭は父伯爵に禁じられるが、惹かれあい恋に落ちていく二人。
だが身分も価値観も違う二人を待ち受けていた運命は――。
有馬翔(ありまかける・18歳)×花山院尭(かざんいんあきら・19歳)

時代は明治の初めの頃。
政治家である花山院伯爵の長男で軍人の尭と、貿易で財をなした有馬男爵の庶子・翔の、その敵対する立場故に翻弄される恋のお話。
自由民権運動に参加する翔と、国家の犬と言われる軍人である尭は、惹かれあい愛し合いますが、その信念と立場の違いから道を分かつことになります。

前半は、煌びやかな鹿鳴館を舞台に燃え上がる若い二人の恋愛模様が書かれています。
自由民権を掲げ理想に燃える翔たち学生グループにとって、尭は敵とも言える政府側の人間です。しかしそんな立場はものともせず、二人は一気に燃え上がる。

けれど、時代の変遷に飲み込まれていく二人。
翔たちのグループが政府の要人である尭の父に刀を向けたことをきっかけに、翔は追われる立場になり、尭は翔を外国へと逃がします。
生きてさえいれば…というわずかな希望と同時に、もう二度と会えないという諦めも感じていた尭。
その後5年の月日が流れ、尭は25歳となり、日清戦争へ軍を率いる大尉となって出兵することに。そして朝鮮半島へと到着した日、そこで思いがけず翔と再会します。
しかし、二人は再び別れ、尭はその翌日、平壌へと出陣していきます。

歴史をうまく取り入れています。伊藤博文や板垣退助などの名も登場し、鹿鳴館時代の華やかさに、相反する貧困や反政府運動、戦争、と激動する時代の雰囲気がいっぱい。
そんな中で時代や立場に巻き込まれざるを得ない青年たちの恋愛は、また現代とは違う切なさがありますね。二人の恋愛は総じて甘く情熱的で、そっちでハラハラすることはなかったですが。
この時代に政府に楯突くものは投獄されたり死刑になったり、そうかと言って軍人であれば戦争が起きれば戦地へ赴かねばなりません。状況が切なさを産むようにできてます(笑) 
二人がしっかり愛し合っているだけに、翻弄される状況がいっそうかわいそう。

時代背景がしっかりしているので、なかなか重みのある雰囲気が感じられました。
ただ個人的な好みではありますが汞りょうさんのイラストが華麗で可愛らしすぎる気がして、もうちょっと骨太で美しく男らしい画風の絵師さんの方が良かったなぁと思いました。
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