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夜に薫る純白の花
真崎 ひかる / 真崎 ひかる著
リーフ出版 (2005.6)
通常2~3日以内に発送します。
イラスト:高久尚子(リーフノベルス)

幼い頃、鳴宮(なるみや)医院に引き取られた一葉(かずは)は、
大切に育ててくれた養父を自分のせいで死なせてしまった。
償いのため、一葉はその息子・宏晃(ひろあき)に囲われることに…。
それからは、昼は診療所で宏晃の助手を務め、夜は宏晃に抱かれる
日々。兄のように慕い、淡い想いを抱いていた彼との繋がりを失くしたくないと
恋心を隠して爛れた関係を続ける一葉だったが…。(2005.6)
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鳴宮宏晃(なるみやひろあき・33歳)×高野一葉(たかのかずは・18歳) 
15歳年の差カップルです。


いわゆるネグレクト(育児放棄)と呼ばれる虐待を受けて育った一葉は
10歳のとき父の借金の担保に暴力団に引き渡されそうになったところを、
たまたま居合わせた個人病院を営む鳴宮康宏(やすひろ・宏晃の父)に助けられ、
康宏と宏晃の家で暮らすことになります。
二人の親子とお手伝いの老女・八重に優しく可愛がられ初めて家庭の温かさを
知る一葉。
やがて康宏のことを本当の父のように慕い、宏晃には自分でもよくわからない
胸のときめきを覚えるようになります。
ところが幸せに暮らしていた一葉が16歳のある晩、
往診先の暴力団跡取りの家で抗争に巻き込まれ、一葉を庇った康宏が
背中を刺されて絶命してしまいます。
罪の意識に苛まれた一葉は、父が亡くなってから毎晩深酒をするようになった宏晃を慰めたくて
「自分にできることがあればなんでもする」と訴えますが、実は一葉と康宏の間を
疑っていた宏晃は「俺の好きなようにさせれば今までと同じように囲ってやる」と
一葉を押し倒します。
恋心を自覚しながらもそれを告げず宏晃のストレスの捌け口になれればいいと、
宏晃を受け入れる一葉。
しかしそれから2年の月日が経った頃、宏晃に見合いの話が持ち込まれ
「宏晃のために宏晃の前から消えてくれ」と言われた一葉は家を飛び出してしまいます。




実は高久さんイラスト買いだったんで中身にそれほど期待を抱いていたわけでも
なかったんです。(失礼だな)
冒頭が一葉と宏晃のエチシーンで、年齢差も大きく言葉攻めもちとキツかったので
これはちょっと私のツボとは違ったかな?と思ったんですが、
一葉の生い立ちが語られ始めたとたん一転。

一葉が暴力団に連れて行かれた年齢は10歳。
内輪話ですが、実はうちの息子も10歳。
あきまへんて、これは。

自分の子供と同じくらいの年齢の子供の事件や事故のニュースには
日頃から胸が大変痛みますが、
一葉の境遇が、小説だとわかっていても痛々しくて辛くて仕方がなくて。
お子さんをお持ちのかたは感覚わかっていただけると思うんですよ。

康宏に連れられて鳴宮家に来た日、宏晃と行った初めてのスーパーで、
三日も父から食べ物を与えられておらず空腹が押さえきれなかった一葉は、
思わずバットに並べられた揚げ物のコロッケに手を伸ばしてしまいます。
それを見咎めた宏晃に叱れて殴られると思い、泣きながら身を竦めて謝る一葉は、
本当に可哀相で哀れでなりませんでした。
…書いてるだけで泣けてくる(笑)

そこから先はただただ一葉の幸せを願うばかり。
なのに一葉を襲うのは哀しい出来事…。
切ないっす。
恋心をひた隠しにして宏晃のことを想う一葉の健気さにまんまとやられてしまいましたが
やはり恵まれなかった生い立ちを見せられちゃったのが大きいですね。
それで一葉に一挙に同情し、ストーリーにのめり込まされちゃったみたいです。

そして実は宏晃のほうも父が生きていたころから一葉に特別な想いを抱いていて、
「囲ってやる」などと露悪的なことを言ったのも、父の愛人だった一葉が(誤解ですが)、
父が死んだあとも気兼ねや負い目を感じることなくこの家にいられるように…と
思いやった結果だったのです。わ、わかりにくい…!
それに途中で明らかになって驚いたんですが、宏晃は一葉に最後まで
してなかったんですよ、2年の間。
学校にも行かず(家庭教師を家に呼んでいた)外出もほとんどしないため
そんな知識を仕入れる術もなくSexのことなど何も知らない一葉は全く気づいて
いなかったんですが、宏晃は一葉を悦ばせるだけで自分が一葉で快楽を得たことは
一度もなかったんです。
もし初めて抱ける日がきたら、大事に大事にしようと思っていたからって…
なんていうやつ!
(そうはいかずに途中で怒りで抱いちゃいましたがね。あはは)

優しさを遠回りにしか示せない無口で不器用な宏晃と、
ただただ健気に宏晃を想う一葉。
宏晃はいい年してちょっと不器用過ぎでどうかと思いますが、
それでも十分、切ないストーリーに浸らせていただけました。


タイトルの「純白の花」は白梅のことです。
雨に打たれ濡れそぼって縮こまっていた蕾が、
やがて雨上がりの月光の下で小さな花弁を開かせる。
決して華やかではないものの、激しい雨に耐える力強さと誇りを漂わせた
凛とした小さな梅の花は一葉のこれまでと一葉そのものを表していて、
本文でも庭の白梅の木の描写が暗示のように度々挿入されています。

意外に(だから失礼だって)満足の一冊でした。
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