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愚かしくも愛おしく
妃川 蛍
プランタン出版 (2005.6)
通常24時間以内に発送します。
イラスト:稲荷屋房之介(プラチナ文庫)

三年前恭之(やすゆき)が振った秀一(しゅういち)が、
次期社長候補として現われた。年下の純情な恋人だった男は
「愛人として囲ってやる」と傲慢に恭之を抱いた。
恭之はその変貌に戸惑うが、熱い瞳に激しい愛情を感じ、逆に
かつての想いが蘇る。嫌いになって振ったわけじゃない。全部
秀一のため。今もこの腕を振りほどかなくてはと思うが、狂おしいほどの
執着が嬉しくて身体は蕩け堕ちていく。
そんな時、若い秀一を疎む専務が、二人を陥れようと動き出し…。
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有働秀一(うどうしゅういち・旧姓/沖島)×各務恭之(かがみやすゆき)
年齢はハッキリはわかりませんが、20代中~後半、年下攻めです。


三年前、恋人だった沖島秀一(おきしましゅういち)が自分達の勤める会社社長の
妾腹の一人息子だと知った恭之は、秀一に別れを告げました。
新入社員の頃からその優秀さで頭角を現し注目されていた秀一は、
社のトップに立ち全てを掴むに相応しい男であり、
結婚し子を成して社を引き継いでいく責任がある。
約束された華々しい秀一の未来を邪魔したくない。
そう思った恭之の身を切るような決断だったのですが、
三年後、有働の姓を名乗り、結婚し子供を儲けた秀一が、
新しいプロジェクトのリーダーとして、また次期社長候補として、
上司となって恭之の前に現われます。
恭之を強引に自分の秘書につけ「迎えにきた」と告げる秀一に、恭之は
呆然とし抵抗しますが、「何もかも恭之の望むとおりにした。これで満足だろう」と
不遜に笑う秀一に三年前の可愛い後輩の面影はなく、
「絶対に逃がさない」という秀一に無理やり抱かれてしまいます。
やがて恭之も押さえつけていた秀一への想いが蘇り、
自分が望んだはずの秀一の今の姿と、秀一への愛の間で惑い、悩みます。
そんなとき、恭之は秀一の姉婿が秀一を失墜させ今の地位を奪おうとしていることを
知り、秀一を守るために立ち上がろうとします。




可愛かった後輩が、全く別人の顔を持って目の前に現われる。
翻弄される受け。
別れるときに恭之が願ったとおりの姿となって現われた秀一ですが、
有働の籍に入ったのも結婚したのも子供を作ったのも、全ては恭之のため、
恭之がそうなることを望んだからだ、と言い切ります。
恭之がどんなに言葉を尽くしてもまったく聞く耳持たず。
一貫して変化のないその傲慢な態度は、いっそ気持ちいいくらいでした(笑)
何を言っても何があっても揺るがない秀一の気持ちが伝わってくるし、
秀一の将来を思って別れを告げた恭之が、再会してどうしても消すことのできない
秀一への想いを知り、自分の決断は間違っていたのかもしれない・・・と悩む
心の変化と切なさが丁寧に書かれていて、よく理解できました。
傲慢なだけの攻め・・・はあまり好きではないんですが、
これがあまり気にならなかったのは秀一の想いがハッキリしてたせいかな?
恭之のグルグルだけでなく、秀一に仕掛けられた陰謀など、
ビジネス面も巻き込んで興味を引く展開になっていました。

なかなか面白く、これ結構好きかも・・・と思いながら読んでいたんですが、
ずっと引っかかっていたのは「結婚して子供を儲けた」ということで、
秀一と恭之がラストで結ばれるためには、これをどうにかしないといけないわけです。
たとえ愛がない結婚だとしても(よくあるパターン)、子供まで生まれていたら
「離婚しました、愛はなかったから心配いりません」ではあまり後味がよくない。
だいいち子供はどうする。
それには何かカラクリがあると信じたいわけで、これはラストで真実がわかり解決となっていますが、
これが、私には納得いかーん!

秀一と妻の間にはやっぱり愛はなく、子供は実は秀一の子供ではないんですが、
入籍はもちろんしてますし、子供も『秀一の子供として』籍に入っています。
では、いったいどうするのか・・・と思ったら
ここがラストへ向けて、いろんなことが丸く収まっていくためのひとつの山なので
明かしてしまうのはちょっとやめときますが、私は絶対イヤですよ、こんなの。

ここまでは気持ちよく読んでたんですがねー。
すごく残念。

可愛くて甘えたがりだった後輩が、自分より大きく逞しく傲慢とも言える強さと
高い地位を持って、再び現われる・・・なんてすごく年下下克上ポイント高いですし、
なかなかの萌えなシチュエーションだったんですが。
うーん。他にどうにかならなかったものか。

稲荷屋さんの、まるで肉食獣のような男らしい攻めイラストが大好きです。
口がでかくてホントに食われそう…。
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