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どうなってんだよ?
桜木 知沙子
新書館 (2005.6)
通常24時間以内に発送します。
イラスト:麻生海(ディアプラス文庫)

明央(あきお)には可愛い恋人がいた。だが、ついに彼女と
同棲を始めることになったその日、一緒に暮らすはずの部屋に
引っ越してきた明央は呆然とする。
室内はからっぽだし、そこへちょっとワルそうな男がやってきたのだ。
アンタ、一体誰なんだ!?
どちらも譲らないまま何故か始まったヒモのようなその男・桐生(きりゅう)との
同居生活の行方は…?
----------------

桐生堅(きりゅうけん・28歳)×野田明央(のだあきお・24歳)

「どうなってんだよ?」雑誌掲載
「どうにでもして」書き下ろし の二編収録されています。
舞台は相変わらず北海道。


恋人の紗也香(さやか)と同棲を始めるべく、自宅や家財道具を全て引き払って
紗也香の家にやってきた明央は、ドアを開けて目前の光景に唖然とします。
紗也香の部屋は家財道具一式も何もないもぬけの殻で、
もちろん本人もいません。
明央が途方に暮れていると、そこへ黒いサングラスをかけたどう見ても
普通の勤め人には見えない派手な男が突然やってきて、スーツケースの
荷解きをはじめてしまいます。
当然のようにここに住むつもりだというこの男・桐生に、様々な誤解と意地から、
明央もこの部屋を動かないと決め、行方知れずの紗也香から連絡があるまで
奇妙な二人の同居生活が始まります。

桐生は仕事もせず一日中部屋でゴロゴロしていて、部屋代、食事代、光熱費、
そして家事全てを明央が一人で背負わされてしまいます。
文字通り「ヒモ」のような桐生は、とても感じが悪く横柄で、
反対に明央は、おっとり型で優しく、争いごとも好まないし怒りを継続させることも出来ない、
人の良すぎる性格なので、このイケ好かない男にいいようにされている間は
読んでいてあまりいい気がしなかったんですが、お話のごく早い段階で、ある出来事から
桐生が変化を見せ、そこからは、見た目とは全く正反対の優しさや思いやりが
どんどん見えてくるので、イメージがガラッと変わっていきます。

こちらの見る目が変っていくのと同時に、明央の心も変化していきますので、
はじめはストレスでしかなかった生活が次第に楽しくなっていき、
明央の心の中で桐生の存在が大きくなっていくのが、無理なく入ってきます。
心理描写が丁寧なので、本当に読みやすく、ついて行きやすい。

明央はいろいろなことを誤解していて、それが話を更にややこしくしているのですが
その思考回路は往々にしてかなり暴走気味な感じがしました(笑)
人のいい明央ですが、屈折していない分真摯で真っ直ぐなので
怒ったときや、こうと決めたときはハッキリと物を言います。
それがまた純粋で優しい性格を彷彿とさせるんですが、そんな明央に桐生が
惹かれていくのも、無理ないなぁと納得できます。

先は見えるし紗也香の正体も読んでる方は多分途中で気づきます。
それでお話を損なうことはなく、ユーモアもあるし切なさもあるし、
とても面白く読めました。

書き下ろしは、晴れて恋人同士として一緒に住んでいる二人のもとに
紗也香が転がり込んできて甘い生活を邪魔され、更に桐生の昔の彼女が現われたことで
明央は再び思考を暴走化させて、大喧嘩になってしまいます。
かなりじれったい展開です。
「どうなってんだよ?」もじれったいですけど。
桐生が好きだから、桐生の幸せのために身を引くと言う明央よりも
「おまえが幸せになろうがなるまいが、俺はお前を絶対に離さない」と
言い切った桐生に、もの凄く萌えてしまいました。

Hシーンもちゃんとあります(笑)
ウブなくせにその時だけは大胆なことを口にする明央が、天然小悪魔っぽくて
とってもいい感じ。

今まで読んだ桜木さんの作品のなかでもかなり好きの上位に入るお話と
なりました。
お薦めです。
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