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機密は夜に奪われる
水月 真兎著 / 岩崎陽子イラスト
白泉社
花丸ノベルズ(2007.3)


時は大正末期、ドイツ貴族と日本の華族との間に生まれた篠宮理人は、第一次世界大戦中のヨーロッパでドイツのスパイとして暗躍していた。敗れ去ったドイツ軍再建の密命を受け、理人は久しぶりに母の国である日本へ帰国する。
日独の狭間で揺れ動く理人の前に、かつて恋焦がれた幼馴染、伊庭慎太郎が現れる。だが、慎太郎は帝国海軍特務、理人の敵だった…!
伊庭慎太郎(いばしんたろう・32歳)×篠宮理人(しのみやりひと・28歳)
海軍特務×ドイツスパイ
時代は大正です。

ドイツ貴族の父と日本の華族の母の間に生まれた理人ですが、両親は1年で不仲となり、赤ん坊の理人と母は日本へと帰ってきました。しかし、外国人と結婚した母は篠宮家に蔑まれ、悲観した母は自殺。混血である理人も同様に悲惨な扱いを受けて蔵に閉じ込められ、幽閉生活を送っていました。14歳になるころには、伯父に性的な関係を強いられるようになりますが、そんな理人を心配し優しくしてくれたのが、篠宮家の隣に住む、伊庭家の長男・慎太郎でした。理人は、いつしか慎太郎に恋心を抱くようになります。
そして、理人が伯父に性的虐待を受けていると知った慎太郎の手はずで、理人は篠宮家を脱出。慎太郎の叔父と共にドイツへと逃れます。
しかし、慎太郎の叔父の仕事を手伝っていたのは数週間で、その後行き場を失くした理人は、身体を売って生活するようになります。
そんな中、知り合った男に連れていってもらったパーティで、実父と再会。
親子の愛情などお互い何も抱いてはいない父子でしたが、父は理人を家に住まわせてくれます。

それから13年、第一次世界大戦中、ドイツのスパイとして暗躍した理人でしたがドイツは敗戦、しかし実父よりドイツ再建の密命を受けて、日本のある博士から情報を引き出すために、理人は日本へ帰国します。
博士の情報はドイツ側だけでなく連合国側も狙っており、もちろん日本も博士を監視しています。そんな中、博士は失踪。自宅を訪ねた理人は、そこで、帝国海軍特務となった慎太郎と再会します。

幼い頃、父からは省みられず、母も自分を置いて亡くなり、親戚からも疎まれて幽閉されて、誰にも省みられず居場所もなかった理人が、唯一自分を思いやってくれた慎太郎に恋をするのは当然のなりゆきなんでしょうね。混血であることで、ドイツでも日本でも異端に見られてしまう理人のたったひとつの拠り所が慎太郎で、13年経っても理人は慎太郎への想いを持ち続けているわけです。
が、海軍の特務機関にいる慎太郎とは、立場は敵同士。そして理人だけでなく海軍も同じ機密を追っているのは明白です。想いを隠して、慎太郎から情報を掴もうとする理人、そして慎太郎もまた、上司からドイツスパイである理人から同じように情報を手に入れるよう命令されています。

結局二人は一緒に博士の行方を追うことになります。「スパイ」と言ってもト○・○ルーズの映画のように華々しい場面はなく、洞窟を探検したり書物から暗号を解いたりと、理人が日本で偽った『探偵』という身分のように、地味な捜査で真実に近づいていきます。

敵対する二人ですから、双方恋心を隠しての駆け引きとか、誠実で真面目で嘘のつけない慎太郎が、任務と理人への想いの間で苦悩するとかあってもいいような気もしますが、そういう感じではないんですね。
お互い相手が自分を利用しようとしていることに気づいているけれど、それはそれ(笑)。13年間ぶりの再会で相手への気持ちが溢れちゃって、再びの別れとなるかもしれない結末から先のことはあんまり考えてない…?
ちょっと突っ込み不足かなぁと思うんですが・・・もっと切なさが強くても良かったように思います。
ドイツ人の父と理人との関係も、何も変わらないまま、理人は最終的にもドイツのスパイという立場のままで、ちょっと中途半端な感じもします。作品中で追っていた機密に関しては一応の決着は見ましたが、慎太郎と理人が何の心配もなく恋人関係を堪能できるかというと、周りに不確定要素が残ってるので、ちょっと心配かな。

裏表のない誠実な慎太郎と、傷つき、生きるために身体を売って、妖艶な色気を身につけながらも慎太郎の前では純情を曝け出してしまう理人の二人は、どちらもわりと好きなタイプのキャラでした。Hが1回だけなのはちょっと寂しいですが花丸だから(笑)。
トーンは地味目な感じでしたが、二段組で読み応えはあったかな。
続編があるような感じではないですが、いろいろスッキリさせる続きがあったら、読んでしまうかもしれないです。
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