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愛しうる限り愛せ
高塔 望生 / 高塔 望生著
ビブロス (2005.4)
通常24時間以内に発送します。
イラスト:有馬かつみ(ビーボーイスラッシュノベルス)

若き財閥総師・高階亨一(たかしなこういち)は、義父の
葬儀で儚げな美貌の青年・薫生(まさき)に心を奪われた。
「親父の愛人だったあんたも、俺が相続してやる」
バーテンダーとして働く薫生と運命の再会を果たし、恋の
熱に浮かされた高階は、己の烙印を押すように、貪婪に
薫生を貪る。金で言いなりになる、その美しい身体は
淫らに蕩けていても、芯には哀しい過去を秘めているよう。
どうしたら心まで抱ける…?!
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高階亨一(28歳)×北原薫生(31~32歳くらい) 年下攻め。

「愛しうる限り愛せ」
「アダージョ ―愛執のセレナーデ―」の二編収録されています。

母の再婚により高階が6~12歳まで一緒に暮らしていた
義父・澤井亮平の葬儀で、高階は美貌の青年・北原薫生にひと目で
心を奪われます。
もう一度会いたいと願っていた高階は、相続することになった義父の
経営するバーで、偶然バーテンとして働いている薫生と再会。
どうしても薫生を自分のものにしたい高階は、
薫生が義父の愛人であったと勘違いし憤り「店を続けたいならビルごと
キャッシュで買い取るか、それができなければ身体で支払え」と
無理やり薫生を自分のものにしてしまいます。

とにかく高階の最初の印象が最悪です。
薫生に対して蔑みを抱いているわけではなく、本当にひと目惚れした
ようなんですが、のっけから斜に構えた態度だし、
初対面で「身体で払え」とはなんなんだいったい…と唖然。
いきなり高飛車になる理由もわからないし、ひと目惚れしたのなら
とりあえず最初くらいストレートにアプローチできないものでしょうか…と
かなり引きました。

とはいえ、薫生を無理やり抱くようになってからは、高価な物を次々に
買い与え薫生を辟易させ、薫生がちょっとでも喜ぶ顔をすると
自分も嬉しくなって胸が弾むところなんかは、やけに可愛らしい。
興信所を使って薫生の過去や義父とのつながりを調べさせたりして
陰険なんですが、いざ調査が上がってみると、こんなことをするより
薫生の口から直接聞きたいと、封書を開けずに机の引き出しにしまってしまう。
ものすごく傲慢なくせに、薫生に対しては真摯な面も見えて
行動に一貫性がないので、ちょっとわかりにくい感じです。

ですが、話が進んでいくと高階は家庭環境に恵まれなかったせいで、
「愛し方」が全くわかっていなかったのが少しずつ見えてきます。
薫生に対して出だしを間違ってしまったんですね。
28歳にして大会社の総帥として辣腕を振るっていますが、
実際の高階はまるで「癇癪を起こした子供」で、
横暴な態度も、我が儘を言う大きな子供のように見えてきます。
薫生の心が欲しいのにどうしたらいいかがわからないから、
意に反して無理やり従わせるようなことになり、
「こんなふうにするつもりじゃなかったのに」と後悔します。可愛い(笑)

薫生は美しい顔に凛とした雰囲気を漂わせながらも、
何かを諦めたような儚いイメージ。芯の強さも感じさせます。
表題作では視点が高階なため薫生側の気持ちはわかりにくい
ですが「アダージョ ―愛執のセレナーデ―」で薫生の想いが
よりはっきりわかります。

薫生も過去に辛いできごとがあり、それを引き摺っています。
話が進むにつれて二人の過去が少しずつわかってくると
深いところにも理解がすすみます。
愛し方を知らなかった高階は、薫生を通してそれを学び、
反対に、子供のような高階の強引さが薫生の心の殻を無理やりに
開いて外に出してくれた…というのはちょっといいなと思いました。

「アダージョ ―愛執のセレナーデ―」は、薫生側から、
その後の蜜月のような甘い二人と、薫生が過去を完全に断ち切って
未来に向かって踏み出すお話。
舞台のほとんどがイギリスなので、ちょっとした観光気分も味わえます。
高階がますます年下攻めっぽくなり可愛げがありますし、
薫生をリードする頼りがいのある部分も見えて、
最初の印象とは正反対のいい男になっています。

詳しいピアノ曲やお酒の薀蓄、詩の一説を引用したり
詳しいイギリスの描写があったりと、なかなか博識漂う感じでいいんですが
雰囲気作りだけで、お話には活かしきれていないような中途半端さが
ちょっと残念です。


出だしの印象に比べると読後感はそう悪くありませんでした。
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