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夕陽と君の背中
六青 みつみ著 / 山岸ほくとイラスト
幻冬舎コミックス
リンクスロマンス(2007.3)


心が張り裂けそうなほど、同級生の藍田向陽を想い続けている浅倉勇貴。地味な性格の自分とは違い、向陽の明るい性格に惹かれた勇貴だったが、拒絶されることを恐れ、ひたすら恋心を隠していた。
しかし向陽に彼女ができたかもしれないと知った勇貴は、衝撃を受け焦り始める。
日に日に自分だけを見てほしいと欲求が募る勇貴は、少しでも可能性があればと、文化祭で女装することを思いつくのだが……。
藍田向陽(あいだこうよう)×浅倉勇貴(あさくらゆうき)
高校二年生同士。
「夕陽と君の背中」雑誌掲載
「手をつないで歩こう」書き下ろしの二編。

雑誌掲載時に表題作は読みました。
親しい同級生・向陽(攻め)に恋をしてしまった勇貴(受け)が、ついこらえきれなくなって、眠っている向陽にキスしてしまい、しかし気づいて目を覚ました向陽は戸惑いや怒りをあらわにして、それ以来勇貴を徹底して避けるようになる。
謝らせてももらえず、視線が合っても無視され続け、友人という立場も失ったばかりか存在さえないものとされてしまい、悩み苦しむ勇貴。雑誌掲載時も読んでてすごく辛かったんですけど、またその苦しみを味わってしまいました(笑)。
向陽も悩んでいたことは後半にはわかるんですけど、二人の擦れ違っている間に勇貴視点から見る向陽は、本当に冷たいし侮蔑的で、残酷さに満ち満ちているんですよね。
しかし勇貴ももちろんなんですけど、向陽もまだ高校2年生で、非常に子供っぽく未熟で「男」としてはまだまだ全然駄目なんです。

書き下ろしでも、向陽は再び勇貴を傷つけてしまいます。
勇貴は元々同性しか好きになれないんですが、向陽は違います。「たまたま好きになったのが勇貴だった」だから「俺はホモじゃねぇ」と、彼の中ではそこのところまだ消化できていないんですね。

勇貴のことは、それでも本当に好きなんですよね。その気持ちは嘘ではないんだけど、「男同士」の背徳感がどうしてもつきまとう。
第三者が現れたとたん、あからさまに距離を置いたり、仲のいい二人をからかわれると「ホモなんてキショイ」と否定してしまう。それを横で聞いている勇貴は、やはり辛いわけです。
こういう関係を周りに隠したい、知られたくないという気持ちになるのは、ある意味仕方がないとも思うんで、一方的に向陽を責める気にはならなかったんですけど、単に秘密にしたいだけでなく、向陽に「抵抗感」とか「異質と見られたくない」という気持ちとか「偏見」があるのがわかりますので、勇貴は辛いと思うんですよー。読んでいてちょっとまいってきました。

きちんと腹を括れずにいる向陽に勇貴が傷つき、耐えた末に爆発して向陽に別れを告げ、目の覚めた向陽が追いかける、雑誌掲載も書き下ろしもどちらもこんな感じのパターンです。
かなり容赦ない痛烈なセリフもあり、「そこまで言うな~」と何度も思いました。 若い二人が大失敗し、自分やこれからを模索して成長していく話でもあるので、そういう未熟さも、年代特有の味かなと思います。
視点は両方からあるので、お互いのズルさも弱さも迷いもよくわかりますから、心情を理解しやすいです。勇貴は辛いことが多いんですけど、ただ黙っているだけの子じゃないので、読んでいて溜まったストレスもちゃんと発散できました(笑)。

あとがきで六青さんが書かれているように「青くてしょっぱい」そして「しょっぱ過ぎて涙が出る」、そんなお話だと思いました(笑)。
向陽はまだまだこれから成長して、大人のいい男になっていくんだと思います。この本はその途中、躓いたり壁にぶち当たったりしている段階なので、お世辞にも「素敵」とは言えませんが、悩んで大きくなる途中の彼らのお話も、それはそれでなかなかよろしいと思います。
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