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凍らない水amazon.co.jp
桜木知沙子/高永ひなこ

冬の寒い夜、離婚届を置いて三國泰弘(みくにやすひろ)の妻・良香(よしか)が出て行った。様々な生活上のトラブルを隣人の藤川に助けられるうちに、三國は穏やかな藤川に安らぎを感じるようになるが、藤川には秘密があった…。

表題作の「凍らない水」ほか、3編を収録したアンソロジー。
(1999.2)
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「凍らない水」
「夏の体温」
「決戦のクリスマス」の三編が収録されていて、それぞれ別のお話です。
舞台は全て北海道ですが横の繋がりは全くありません。

「凍らない水」は、妻に逃げられた29歳のエリートサラリーマン・三國と、
お隣に住む大学院生・藤川(23歳)のお話。
突然妻がいなくなった上、寒さのため凍ってしまった水道に途方にくれて
三國が思わずお隣に助けを求めたのがきっかけで、二人は親しくなっていきます。

冬の寒い夜、水道が凍りついてしまうのはよく聞く話ですが、
このエピソードがお話の中でとても象徴的な場面で何度か使われています。
ちょっと胸にズキンときちゃいましたね。
凍ってしまった水・・・このお話では、水は涙の象徴でもあります。
凍ってしまった水道と、泣いてしかるべき場面で一滴も流れない涙。
「凍らない水」というタイトルがとってもいいです。


「夏の体温」は高校の男子寮での同級生の恋。
有賀弓自(ありがきゅうじ)と原法行(はらのりゆき)二人とも17歳です。

クオーターの女顔で、男子校に入学と同時にまわりから女扱いされたことを嫌って
丸刈りにしてしまう(笑)男気のある原と、同い年とは思えないほど落ち着いていて
勉強も出来き、かといってただの優等生ではなく遊びもこなす、
まわりから一目置かれる存在の有賀。
寮では寮長(原)、副寮長(有賀)で、部屋も同室。

高校生という設定もあって、可愛いお話です。
こちらも原だけが知らない秘密があって、それが二人を結びつける発端になっています。
面白くはあるけれど、好みだけで言えばちょっと子供っぽい感じがして
個人的にはそれほど萌えず。


「決戦のクリスマス」も
大学生(20歳)の日比野凌(ひびのりょう)と佐伯佳孝(さえきよしたか)のカップル。

10歳の時両親の離婚で富良野から転校してきた佳孝と初めて会ってから、
10年間密かに佳孝を守ろうと想いを募らせてきた凌。
10年たったクリスマスの日に想いを告げようと決心して…というお話です。
過去の出会いや、凌が佳孝に惹かれていく様子が、現在と交互に語られています。

父や、大好きだった兄と別れ寂しい思いをしている佳孝を喜ばせようと、
凌が小さいながらも一生懸命考えて、それでも子供であるため無力を感じて
泣いてしまうシーンは、凌の佳孝への幼いけれど真剣な想いが感じられて
好きなエピソードです。
お互いを思う気持ちがとっても優しい、いい雰囲気のお話になっています。
このお話もけっこう好きでしたね。


三編ともハッピーエンドですが、これから、というところで終わっています。
Hはなし。
「夏の体温」だけ、有賀と有賀の彼女のHがほんのちょびっとだけあり。


別々のお話三編ということで中途半端な感じがするかと思いましたが、
どれも綺麗に纏まっていて、そんな感じはしませんでした。
雰囲気もみんな違うので、意外に楽しめてお得かもしれませんが、
余りに古く、古本屋さんにしかないようで申し訳ありません。
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