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心に消えないぬくもりを
杏野 朝水著 / 金ひかるイラスト
幻冬舎コミックス
リンクスロマンス(2007.3)


ウリをして生活する根岸知未は、幼いころ親に捨てられ、人を信用できず、すべてを諦めて生きていた。
ある日、たまたま入ったカフェで会社を経営する陶山芳邦に話しかけられる。話の流れから、自分の元で働かないかと誘われた知未は、身体が目的だと思いこみ、金のためと誘いに乗ることにする。
陶山のマンションで一緒に暮らしながら仕事を始めた知未だが、優しく真摯な態度を取り続ける陶山に次第に心を許し始め…
陶山芳邦(とうやまよしくに)×根岸知未(ねぎしともみ・18歳)
陶山の年齢は書かれていませんが、見た目30代後半くらいとのこと。
「心に消えないぬくもりを」
「心に甘い愛しさを」の二編。

親に虐待された末、捨てられ、三歳から十六歳まで施設で暮らした知未は、中学卒業後仕事に就くものの短気で喧嘩早い性格が災いしてクビになり、その後は定職にも就かず家も持たずにウリをしてフラフラ暮らしています。
ある日、女に家を追い出された知未が、貰ったプリペイドカードでカフェに入ると、隣に座った男に声をかけられます。身なりのいい上品な金持ちそうな男。自分とは世界が違い過ぎ、カモにはならないと思う知未ですが、後日再びその男とカフェで再会し、自分のところで働かないかと誘われます。
こうしてその男・陶山のマンションに連れて行かれ、高価な衣服や装飾品を買い与えられ、食事は専門のシェフが訪ねてきての手料理と贅沢をさせてもらいながら、知未に与えられた仕事は陶山の経営するカフェやコーヒー豆や器具の専門店、パスタハウスなどに関わる業務を学ぶことでした。

野良猫のような知未が、陶山の元で変わり成長していく、マイフェアレディというかシンデレラストーリーといった感じのお話です。
人を信用できない知未が少しずつ陶山に惹かれていくようすや、仕事に一生懸命になっていく様子は、微笑ましかったり切なかったりして、結構面白く読めました。
しかしいきなり18歳の不良少年を自分のところへ連れてきてしまうというのが「有り得ない」とは思うし、未知の分野の資料を渡されて、いかにも簡単に理解できているように見えるのは、都合が良すぎるかな~とは思いました。知未が実は勉強好きで図書館好き、知識欲旺盛というフリも、そのためだとわかってしまうのが苦しい(笑)。

陶山が徹底して知未のために、優しく穏やかに知未を見守っている感じなのが好感持てました。下心はもちろんあったわけだけれど、とても紳士的にそういうことは抑えていて、それでいて知未が可愛くてつい過保護になってしまう陶山は見ていて微笑ましく可愛らしい。
ここまで甘く優しくされたら、なんだかグニャグニャに溶けてしまいそうな気がするのですが、ちょっと知未が羨ましくもありますね(笑)

「心に甘い優しさを」は、完璧な陶山にも実は意外な一面が・・・・というお話なのですが、それが「異常に嫉妬深い」というのはちょっとありきたりですね。
表題作では全くソツがない、欠点もない愛情深い攻めなのですが、それはそれで、そのままでも良かったような気もします。完璧な男の欠点は時には可愛らしく見えるものですが。
でも、扉の影から知未と自分の秘書の様子をじっと見ている陶山のイラストは、あまりに面白すぎて、これはナイスでした(笑)

知未の親に捨てられた経緯などはキツイんですが、回想として語られるだけですし、ウリをしていた時代の知り合いの男や女が出てきて絡んでくるなどということもなく、ほのぼのとした甘いお話になっていました。
知未が陶山への思いを自覚するところとか、マンションを出ようとするあたりでは、ちょっとウルッとしてしまいました。
好みのカップルというわけではないんですが、癒しの一冊という感じ。
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