甲田は大学助教授だが、かなりの遊び人。興味本位で美貌のサラリーマン・頼久に交際を申し込む。しかし思いがけないほどあっさりとOKが出て、トントン拍子に同居生活が始まると、すべてを捧げて尽くしてくれる頼久に甲田はメロメロに。
そんなある日、甲田の別れたはずのセックスフレンドが家に乗り込んでくるが頼久は怒らず、その上“浮気のススメ”まで持ち出されてしまう。
三歩下がって、三つ指突いて、女遊びに文句ひとつ言わずに家を守る――『妻の鑑』のようでありながら、スルリと腕をすり抜けていく頼久に、甲田の心中は複雑で…。
「君は天使なのか、悪魔なのか…?」
両想いなのに、何かがどんどんズレていく!?
ちょっとおかしくて切ない大人の恋物語。
そんなある日、甲田の別れたはずのセックスフレンドが家に乗り込んでくるが頼久は怒らず、その上“浮気のススメ”まで持ち出されてしまう。
三歩下がって、三つ指突いて、女遊びに文句ひとつ言わずに家を守る――『妻の鑑』のようでありながら、スルリと腕をすり抜けていく頼久に、甲田の心中は複雑で…。
「君は天使なのか、悪魔なのか…?」
両想いなのに、何かがどんどんズレていく!?
ちょっとおかしくて切ない大人の恋物語。
甲田尚臣(こうだなおみ・41歳)×最首頼久(さいしゅよりひさ・33歳)
大学助教授×サラリーマン
「ドアをノックするのは誰?」雑誌掲載
「Irresistible」書き下ろしの二編。
もうあちこちで絶賛されているので、詳しく内容を書く必要もないかと。評判どおり大変面白かったです。私が読んだ鳩村さんの中では一番デキがいいかも。アダルトカップルらしい、大変いい味が出てました。
初めはシニカルさの漂うユーモアで笑わされ、中盤では切なさに涙し、ラストでは再びクスクスと笑わせられる。読み始めると途中で止められない面白さでした。
鳩村さんが「珍しく、お気に入りのキャラになった」と書かれていましたが、本当に二人のやりとりをいつまでも読んでいたいと思わせる、魅力的なカップルでした。
頼久の非の打ち所のない完璧な妻ぶりに「男の理想」を手にしたかのように喜ぶ甲田ですが、日々少しずつ「あれ?」と何かズレていく、有頂天から疑心暗鬼に、その辺りは絶妙に可笑しく面白いです。
しかし同時に何も知らない甲田への憐憫や同情も募っていく。そこへ例の「手紙」なので、さすがに枯れたオバサンも目尻が潤みました。41歳にして初めての本気の恋に翻弄される甲田の哀愁がヒシヒシ胸に迫ってたまりません。
頼久が「完璧」である理由は、今も残る心の中の「引っかき傷」のせいであるというのは、ある意味切ない。でもその「完璧な妻ぶり」が笑いをさそうというのもまた事実。とてもよくできたコメディだと思います。
「引っかき傷」と言ったのは、頼久のような心の隙間は子育て中にはほとんどの人が無意識にでも感じることがあるだろうと思うからです。しかし大抵の母は四六時中泣き喚く子供にまとわりつかれ「ひとりになりてぇー!」と叫んだ次の瞬間には、そんなことは忘れて子育てを続けていくものだと思うんですけどね。それは産んで母になった人の強さかもしれません。両親が亡くなって17歳でそうなった少年がそれを「傷」として心に抱えてしまったのはとても可哀相なことだったと思います。
頼久の気持ちは「母」である立場の人の方が、より実感しやすいかもしれないですね。
甲田にも同情させられますが、甲田と離れた頼久が無自覚に胸の痛みを覚え自分の感情に気づくあたりは、こちらの胸も苦しくなりました。
しっかりと心が通じ合ったあとの二人の姿がまた笑いを誘います。従順で貞淑で夜は淫らという「完璧な妻」の尻に敷かれる甲田は、きっと友人たちから「恐妻家」と呼ばれてしまうでしょう。
やっぱり甲田には哀愁を感じちゃうなー(笑)。
でも男の人はどう思うかわかりませんが、「恐妻家」って女性たちからは好意的に見られそうな気がします。こういう人と結婚すると幸せになれそう。。
今月発売の「シャレード5月号」に、本作の二週間後の二人のSSが載っています。すでにラブラブな新婚生活を送る二人ですが、これは正式な夫婦の証だね?
大学助教授×サラリーマン
「ドアをノックするのは誰?」雑誌掲載
「Irresistible」書き下ろしの二編。
もうあちこちで絶賛されているので、詳しく内容を書く必要もないかと。評判どおり大変面白かったです。私が読んだ鳩村さんの中では一番デキがいいかも。アダルトカップルらしい、大変いい味が出てました。
初めはシニカルさの漂うユーモアで笑わされ、中盤では切なさに涙し、ラストでは再びクスクスと笑わせられる。読み始めると途中で止められない面白さでした。
鳩村さんが「珍しく、お気に入りのキャラになった」と書かれていましたが、本当に二人のやりとりをいつまでも読んでいたいと思わせる、魅力的なカップルでした。
頼久の非の打ち所のない完璧な妻ぶりに「男の理想」を手にしたかのように喜ぶ甲田ですが、日々少しずつ「あれ?」と何かズレていく、有頂天から疑心暗鬼に、その辺りは絶妙に可笑しく面白いです。
しかし同時に何も知らない甲田への憐憫や同情も募っていく。そこへ例の「手紙」なので、さすがに枯れたオバサンも目尻が潤みました。41歳にして初めての本気の恋に翻弄される甲田の哀愁がヒシヒシ胸に迫ってたまりません。
頼久が「完璧」である理由は、今も残る心の中の「引っかき傷」のせいであるというのは、ある意味切ない。でもその「完璧な妻ぶり」が笑いをさそうというのもまた事実。とてもよくできたコメディだと思います。
「引っかき傷」と言ったのは、頼久のような心の隙間は子育て中にはほとんどの人が無意識にでも感じることがあるだろうと思うからです。しかし大抵の母は四六時中泣き喚く子供にまとわりつかれ「ひとりになりてぇー!」と叫んだ次の瞬間には、そんなことは忘れて子育てを続けていくものだと思うんですけどね。それは産んで母になった人の強さかもしれません。両親が亡くなって17歳でそうなった少年がそれを「傷」として心に抱えてしまったのはとても可哀相なことだったと思います。
頼久の気持ちは「母」である立場の人の方が、より実感しやすいかもしれないですね。
甲田にも同情させられますが、甲田と離れた頼久が無自覚に胸の痛みを覚え自分の感情に気づくあたりは、こちらの胸も苦しくなりました。
しっかりと心が通じ合ったあとの二人の姿がまた笑いを誘います。従順で貞淑で夜は淫らという「完璧な妻」の尻に敷かれる甲田は、きっと友人たちから「恐妻家」と呼ばれてしまうでしょう。
やっぱり甲田には哀愁を感じちゃうなー(笑)。
でも男の人はどう思うかわかりませんが、「恐妻家」って女性たちからは好意的に見られそうな気がします。こういう人と結婚すると幸せになれそう。。
今月発売の「シャレード5月号」に、本作の二週間後の二人のSSが載っています。すでにラブラブな新婚生活を送る二人ですが、これは正式な夫婦の証だね?
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