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普通の男(ひと)
榎田 尤利著
光風社出版 (2003.11)
通常2-3日以内に発送します。
イラスト/宮本佳野(クリスタル文庫)

ある夜コンビニでラス1(イチ)の赤飯おにぎりを譲ってくれた親切な会社員―それが偶然にも再就職した出版社で光也の企画にケチをつけまくった営業の的場だった。実は元デザイナーで編集経験がなかった光也はそれから奮起、部署違いながらも厳しくも温かく指導してくれる的場にすっかり懐いて…。
(2003.11月)
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「普通の男」というから、単に見てくれや職種なんかが「普通」のいわゆるどこにでもいると言われる男の話かと思ってました。
BLではそのへん、少なくとも一般的に誰もが思う「普通」の定義には入らないような男の方が多いし。
仕事にしてもそうだし、容姿も誰もが振り返るような男前だったり、この世のものとも思えないほど美しかったり。

勿論そういう外見的や社会的な「普通」もふくまれていると思うのですが、それ以外に「普通であること」というもっと深遠な意味が大きく含まれてるお話でした。
「普通とはなんだ?」というわけです。

二人はコンビニで偶然の出会いをしてから新しい就職先でまたまた偶然に出会い、仕事を通してお互いを知り、知らず知らずに惹かれあっていきます。
光也(32歳)は彼女と別れたばかりで、的場(38歳)はバツイチです。
男を好きになるなんてことは二人の辞書にはありません。
なので、自分の感情がいったい何なのかわからず、相手の一挙手一投足にイライラしたり動揺したりドキドキしたりして、自分は“おかしい”と思います。
悩みに悩んで、自分の中の気持ちにこれは…と思い当たっても、「まさか」と信じられないし、そんなのは「普通」じゃないと思うわけです。

自分の中にある「普通」の定義を越えて、二人が気持ちを確かめあうまでの物語です。

心理描写が上手いなぁ~と思いました。
特に私が好きだったのは、的場が光也に会えるかもしれないと思って夜のコンビニに煙草を買いに行く場面です。そう都合よく会えるはずないと思っていても、現実に光也の姿がないとわかった時、自分が落胆しないように、光也に会いにきたわけではないと、自分にイイワケを用意しているというそのシーンは、何気ない心理ではあるけれど、それを作者がちゃんと拾ったことで、的場の迷いと光也への想いがより伝わってきたように思えました。こういう気持ちってきっと誰にでも経験ありそう。
重要でもなんでもないシーンですが、一番印象に残っています。

あなたの隣にこんな二人がきっといます。
そんな風に思わせる仕上がりで、面白かったです。
「普通」の二人がとってもいい。


光也が誤植ミスをおかしてしまう場面がありますが、
私はこの本で一箇所誤植を発見しました(笑)

某ノベルスさんでは、なんで気づかない?というくらいの
それにぶちあたったことがありますが…。
たまたまかもしれませんが、古本で、読む本読む本、誤植や「てにをは」が変、ということが続いたことがありました。
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