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12時の鐘が鳴る前に
イラスト/円陣闇丸(ビーボーイノベルス)

高校生の朋也が家政婦として訪れた、荒れ果てた古い屋敷。そこの主・叶は皮肉屋、傲慢、人ギライと三拍子揃った嫌な男だった。出会うなり「乳首のサイズを測れ」と高飛車な命令。当然反発した朋也だが、だんだん叶の隠された面を知り、彼に惹かれていって…。
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シンデレラをモチーフにしてあるそうですが、朋也の家族構成や、懐中時計の鍵(硝子の靴)、門限(12時)などを上手く組み合わせている感じです。

傲慢で冷たくて口を開けば嫌味しか言わないような攻めが、実は辛い過去を背負っていて、そのせいで心を閉ざしている。そこに現われた純粋で真っ直ぐで健気な受けに、次第に心を開いていって…という展開はよくあるものですが、これは面白かったです。

叶と朋也の会話にクスッと笑わされたり、叶の勘違いが真剣なのに妙に可笑しかったり。
なのに中盤からだんだん切なくなってくる…。叶の過去にはウルッとしてしまいました。
伏線である「懐中時計の鍵」は、最初から結末はわかり過ぎるほどなのですが、わかってるからこそ、「早く二人とも真実を知ってくれ~」(笑)
お互いが相手のことを凄く想っていて、なのに口にしてはいけないと二人とも思い込んでいる、そのすれ違った心が切ない。口には出さないけど、お互いの行動に優しさが溢れてますしね。朋也の安眠グッズや団扇もそうだし、叶のオレンジジュースもカブトムシも(笑)。

ラストは一気にロマンティックに。
最後の叶のセリフは、なんとも乙女チック。
冷静になれば恥ずかしいけど、この二人のために、「あー幸せになってよかった」と素直に喜びましょう。
御伽噺の締めのように「めでたし、めでたし」という言葉がピッタリです。

のっけから「乳首のサイズを測れ」とは何事か、こいつ!(ある意味ひちわ節?)と思った叶も本当はすごくいい人で、意外と可愛いトコもあってなかなか魅力的です。
朋也は高校生ですが、大人×子供が苦手な私も気にならなかったです。あからさまな大人と子供の力の差があまり感じられなかったからでしょうか。年齢はもしかすると倍以上離れていそうですけれど。家を切り回すことに関しては叶よりずっとしっかりしてるし、負けず嫌いで叶にもちゃんと言い返したり仕返ししたりできるし。他の大人に対しても、ちゃんと意見を言える。
高校生でもちゃんと自立してて(家庭環境のせいもあるけれど)、強さと弱さがとてもいいバランスで混在している朋也は、ただのお子様ではありませんでした。
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