![]() | 午前五時のシンデレラ いつき朔夜 / 北畠あけ乃イラスト 新書館 ディアプラス文庫2007-08 by G-Tools |
ヤクザ崩れの釘師・飛良と、ドロップアウト教師の優也が出会ったのはレトロなパチンコ店だった。危険な匂いのする釘師になぜか目をかけられて、優也は徐々に新しい職場に馴染んでいく。
だが元生徒の父親が店に乗り込んできたことから、優也は飛良と偽装同棲をする羽目に……!?
待っていたのは、今までの価値観を百八十度変化させるような日々――。
北九州・小倉の街を舞台に繰り広げられる、男たちの人生ゲーム!!
だが元生徒の父親が店に乗り込んできたことから、優也は飛良と偽装同棲をする羽目に……!?
待っていたのは、今までの価値観を百八十度変化させるような日々――。
北九州・小倉の街を舞台に繰り広げられる、男たちの人生ゲーム!!
飛良猛(ひらたける・27歳)×桜井優也(さくらいゆうや・31歳)
釘師×元英語教師
「午前五時のシンデレラ」
「二人がともにあるかぎり…」の二編。
女子高の英語教師だった優也は、生徒に手を出し妊娠させたという疑いをかけられ自宅謹慎を強いられています。自分を信じてくれない周囲に怯えた優也は、身元や事情をあれこれ詮索されないパチンコ店で住み込みで働くことに。
その店の釘師として契約していたのが飛良で、そうして二人は出会います。
舞台が北九州・小倉で、バリバリに小倉弁が使われています。荒っぽく聴こえるこの小倉弁が非常にいい味を出していました。
飛良の小倉弁は、一見おっかなくて、元ヤクザで釘師という飛良の“やんちゃ”さや荒っぽさ、危険な香りを感じさせますが、同時に不思議なことに可愛らしくも聴こえることがあるんですね。強引で態度のデカイ不遜な男の飛良ですが「年下攻め」ということもあってか、そこかしこで、拗ねたりちょっと顔を赤くしたりと可愛いところがあって、それが小倉弁になるとますます可愛いんですよ。
それから“喋り”に、勢い、リズムが出ますね。難しい言葉なんですけど、立て板に水のように捲し立てられているであろうその言葉を追うのがとても心地いい。標準語では歯が浮くようなセリフも、方言だと味や情が滲み出るのはなんででしょうね。それがまたキャラの魅力に感じられるんですね。
まずは「小倉弁の勝利」だなぁと感じました。
ストーリーの方も面白かったです。
パチンコ店で、始めは浮いていた優也が、なぜか飛良に目をかけられたことで、少しずつ周囲にも馴染んでいきます。
そんな時、突然、妊娠事件の発端となった生徒の父親が店に乗り込んできます。身に覚えのないことで再び責められる優也を助けたのが飛良でした。「優也は男にしか勃たないからオンナに手をだすはずがない」とのたまい、店長や生徒の父親の目の前で濃厚なキスをすることによって。度肝を抜かれた父親は飛良の脅しのような啖呵によって逃げていきます。そして店長にまで、自分たちは実はデキてるからもうこそこそしないで一緒に住む、と優也を社員寮から自分のアパートへと無理矢理住まわせてしまいます。この辺、飛良の計算勝ちですね(笑)。
そうして一緒に暮らし始めた二人。
居場所を追われ逃げるように身を潜めていた優也は、飛良の傍で癒され、飛良の傍に自分の居場所を見出していきます。
飛良が優也に惚れているだろうことは何となく伝わってきます。そして優也の方も・・・というところで、ある誤解で飛良がキレ、暴力で優也を犯すという事態に。
翌日、後悔した飛良は、優也に「ほんきに好いちょうとぞ」と告げるのですが(いいですね、この言い回し)、優也は拒否。社員寮に戻ると告げます。
しかしその夜、ヤクザに拉致されて・・・と、この辺はわりとありそうな展開です。でも飛良はかっこよかったです。熱い愛が感じられます。そしてそのカッコ良さにはやはり小倉弁が多大な効果をあげているように思います。
そして優也ですが、大ピンチなのになんだかのほ~んとしてるように感じられるのが妙に可笑しかったです。ちょっと間違えた捉え方してたかもしれないですけど。ピンチをなかなか現実のこととして受け止めないズレが可笑しいというか。だけど、優也はまともで真面目でトラブルには弱いかもしれないですけど、芯はしっかりしてますよね。大真面目なのにトイレ洗剤で「ぴゅーっ」と反撃は、やっぱり面白いと思う(笑)。
「二人はともにあるかぎり…」は、最初のHが“強姦”まがいだったため、優也の恐怖が拭えず、そんな優也に対して飛良も我慢をしていて・・・それでも二人の仲は上手くいっていたんですが、飛良を再び裏の世界に巻き込もうとする男が現れます。
けれど、二人の結びつきは深く、ますます堅固になっていくお話なので安心して読めました。
方言の魅力、キャラの魅力がたっぷり詰まっていて、とても面白かったです。お薦め。
釘師×元英語教師
「午前五時のシンデレラ」
「二人がともにあるかぎり…」の二編。
女子高の英語教師だった優也は、生徒に手を出し妊娠させたという疑いをかけられ自宅謹慎を強いられています。自分を信じてくれない周囲に怯えた優也は、身元や事情をあれこれ詮索されないパチンコ店で住み込みで働くことに。
その店の釘師として契約していたのが飛良で、そうして二人は出会います。
舞台が北九州・小倉で、バリバリに小倉弁が使われています。荒っぽく聴こえるこの小倉弁が非常にいい味を出していました。
飛良の小倉弁は、一見おっかなくて、元ヤクザで釘師という飛良の“やんちゃ”さや荒っぽさ、危険な香りを感じさせますが、同時に不思議なことに可愛らしくも聴こえることがあるんですね。強引で態度のデカイ不遜な男の飛良ですが「年下攻め」ということもあってか、そこかしこで、拗ねたりちょっと顔を赤くしたりと可愛いところがあって、それが小倉弁になるとますます可愛いんですよ。
それから“喋り”に、勢い、リズムが出ますね。難しい言葉なんですけど、立て板に水のように捲し立てられているであろうその言葉を追うのがとても心地いい。標準語では歯が浮くようなセリフも、方言だと味や情が滲み出るのはなんででしょうね。それがまたキャラの魅力に感じられるんですね。
まずは「小倉弁の勝利」だなぁと感じました。
ストーリーの方も面白かったです。
パチンコ店で、始めは浮いていた優也が、なぜか飛良に目をかけられたことで、少しずつ周囲にも馴染んでいきます。
そんな時、突然、妊娠事件の発端となった生徒の父親が店に乗り込んできます。身に覚えのないことで再び責められる優也を助けたのが飛良でした。「優也は男にしか勃たないからオンナに手をだすはずがない」とのたまい、店長や生徒の父親の目の前で濃厚なキスをすることによって。度肝を抜かれた父親は飛良の脅しのような啖呵によって逃げていきます。そして店長にまで、自分たちは実はデキてるからもうこそこそしないで一緒に住む、と優也を社員寮から自分のアパートへと無理矢理住まわせてしまいます。この辺、飛良の計算勝ちですね(笑)。
そうして一緒に暮らし始めた二人。
居場所を追われ逃げるように身を潜めていた優也は、飛良の傍で癒され、飛良の傍に自分の居場所を見出していきます。
飛良が優也に惚れているだろうことは何となく伝わってきます。そして優也の方も・・・というところで、ある誤解で飛良がキレ、暴力で優也を犯すという事態に。
翌日、後悔した飛良は、優也に「ほんきに好いちょうとぞ」と告げるのですが(いいですね、この言い回し)、優也は拒否。社員寮に戻ると告げます。
しかしその夜、ヤクザに拉致されて・・・と、この辺はわりとありそうな展開です。でも飛良はかっこよかったです。熱い愛が感じられます。そしてそのカッコ良さにはやはり小倉弁が多大な効果をあげているように思います。
そして優也ですが、大ピンチなのになんだかのほ~んとしてるように感じられるのが妙に可笑しかったです。ちょっと間違えた捉え方してたかもしれないですけど。ピンチをなかなか現実のこととして受け止めないズレが可笑しいというか。だけど、優也はまともで真面目でトラブルには弱いかもしれないですけど、芯はしっかりしてますよね。大真面目なのにトイレ洗剤で「ぴゅーっ」と反撃は、やっぱり面白いと思う(笑)。
「二人はともにあるかぎり…」は、最初のHが“強姦”まがいだったため、優也の恐怖が拭えず、そんな優也に対して飛良も我慢をしていて・・・それでも二人の仲は上手くいっていたんですが、飛良を再び裏の世界に巻き込もうとする男が現れます。
けれど、二人の結びつきは深く、ますます堅固になっていくお話なので安心して読めました。
方言の魅力、キャラの魅力がたっぷり詰まっていて、とても面白かったです。お薦め。
この記事へのコメント
こんばんは~みむさん!
これはチェックしませんでしたね。
忘れたのかな?それとも予約後の追加があったのか?
「お勧め」ですか?
そう言えば・・小倉が舞台って・・初めてじゃないですか?私が知らないだけ?これも『要チェック』かな?(笑)
これはチェックしませんでしたね。
忘れたのかな?それとも予約後の追加があったのか?
「お勧め」ですか?
そう言えば・・小倉が舞台って・・初めてじゃないですか?私が知らないだけ?これも『要チェック』かな?(笑)
2007/09/02(日) 00:29 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
>水月さん、こんにちは~!
面白かったです。
攻めがホントにしっかり小倉弁なんですけど、これは初めて。
ちょっと荒っぽいんですけど、味があっていいですね~。
物語やキャラにもいい効果をあげてたと思います。
買いませんでした?
もし良かったらお貸ししますからね~!(笑)
面白かったです。
攻めがホントにしっかり小倉弁なんですけど、これは初めて。
ちょっと荒っぽいんですけど、味があっていいですね~。
物語やキャラにもいい効果をあげてたと思います。
買いませんでした?
もし良かったらお貸ししますからね~!(笑)
2007/09/02(日) 05:32 | URL | mimu #-[ 編集]
mimuさん、こんばんは!
小倉弁なんですね~!書評ブログで読まれた方の感想を読んで、これは読まねば!と買って、明日読む予定です(*^o^*)
学生時代の友人がナチュラル小倉弁だったんで、正しいイントネーションで読めるとます(笑)
博多弁の小説はたまにありますけど、小倉弁は珍しいですよね。
楽しみです~。
読んだらまたカキコさせて下さい。
小倉弁なんですね~!書評ブログで読まれた方の感想を読んで、これは読まねば!と買って、明日読む予定です(*^o^*)
学生時代の友人がナチュラル小倉弁だったんで、正しいイントネーションで読めるとます(笑)
博多弁の小説はたまにありますけど、小倉弁は珍しいですよね。
楽しみです~。
読んだらまたカキコさせて下さい。
2007/09/03(月) 00:57 | URL | ちびこ #-[ 編集]
>ちびこさん、こんにちは!
リアル小倉弁のお友達がいらっしゃったんですね。
それでは解説なしに意味もちゃんとわかりますね~。
文章の前後の感じで、なんとなく意味が伝わってきますが、それだけだったら何だかわからない言葉も普通に出てましたから、それだけ「リアル」ということなんだろうと…。
珍しいですよね。
方言の威力を十二分に感じる面白いお話でした。
ちびこさんの感想聞かせて下さい~!
リアル小倉弁のお友達がいらっしゃったんですね。
それでは解説なしに意味もちゃんとわかりますね~。
文章の前後の感じで、なんとなく意味が伝わってきますが、それだけだったら何だかわからない言葉も普通に出てましたから、それだけ「リアル」ということなんだろうと…。
珍しいですよね。
方言の威力を十二分に感じる面白いお話でした。
ちびこさんの感想聞かせて下さい~!
2007/09/03(月) 08:24 | URL | mimu #-[ 編集]
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