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抱擁は闇の中で
イラスト/桜遼(ショコラノベルス・ハイパー)

財務省主計局に勤務する玖珂天竜は、政治家である父親からある日、大財閥令嬢との見合いを命じられた。その気の全くない天竜は、密かに弱みを握る同僚の鞠結蒼に偽の恋人になってくれるよう持ち掛ける。そして渋々引き受けた鞠結とのカモフラージュのデートで、あまりに敏感な彼の反応に煽られ、衝動的に抱いてしまう。しかし嘘から始まった二人の関係だったが、次第にその甘美な快楽の深みにはなり抜け出せなくなっていく。その感情が愛なのか欲望なのか分からないままに…。
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プロローグが面白いですね。二人を暗示するような出だしです。
そこだけだと幻想的な世界のお話みたいにも感じましたが、舞台は霞ヶ関、とっても現実的です。
お見合いを押し付けられそうになった天竜が、「恋人がいるなら名前を言ってみろ」と父親に言われてあげた名前が、同僚の鞠結蒼でした。
この時は全く意識していなかったのに、天竜の頭に真っ先に浮かんだ顔が、鞠結の顔だったのです。深層では、もうすでに意識してたということはなんとなくわかりますが。
実は鞠結は「暗所恐怖症」であり、残業で帰りが遅くなると、官公庁の灯りの消えた暗い街の中を一歩も動けなくなり、それをある出来事で知った天竜が、毎日鞠結の家まで送ってやっていたのでした。
そんなことがあったので、ちょっと無理を頼んでも鞠結は受けてくれるだろうと天竜は思ったのですが、意外にも鞠結もあっさりと引き受けてくれます。
けれど、元々フレンドリーとは程遠い性格の鞠結は、天竜が「恋人なんだから仲良くしよう」などと言いながらふざけて抱きついてくるのに狼狽し、とんでもないことを引き受けたのではないか、と後悔します。
意識しすぎてるといっていいくらい天竜には冷たい鞠結に、天竜はイラつき、また鞠結が、幼馴染の役者・水原と仲良さそうにしているのを見て、嫉妬している自分の気持ちに気づき、思わずキスしてしまいます。だんだんと、鞠結のことが気になっていき、やがて、その気持ちが恋だと、天竜は気づきます。その流れが自然ですね。気がついてからの天竜は、行動力を遺憾なく発揮して鞠結にアタックしますが、鞠結は過去の心の傷のせいで「人を愛することはない。愛される資格もない」とかたくなです。一筋縄ではいきませんねぇ。
天竜のお見合いが主体で話は進むのかと思ったのですが、意外や意外、鞠結のほうにもお見合い話が持ち上がります。これは天竜の父親の陰謀だったのですが、その後は鞠結のお見合いを破綻させるための天竜の奮闘ぶりがメインになります。

天竜視点、鞠結視点が、入れ替わりながらお話は進んでいきます。
ですから、天竜、鞠結、それぞれの思っていることが、無理なく読む側に入ってきます。
天竜が好きなのに好きと言えない鞠結の切なさや、鞠結に拒まれても突き進もうとする天竜の一生懸命さ、真っ直ぐさも伝わってくるので、早く問題を解決して幸せになってくれい!と思わせられ、次へ次へと、どんどん読んでしまいました。
表紙のイメージや題名からすると、色っぽいお話なのかと思ったのですが、天竜の語り口は軽快でユーモアまじり。クスッと笑える部分もある、テンポのいいお話です。作者さまは「新喜劇風」と仰っていましたが、確かにそんな匂いがする場面もありました。
そのわりに、鞠結が背負っているものは、重い感じ…。
ただ、鞠結がショックを受けているのはとっても分かりますが、その原因によって、「愛される資格がない」とか、「人を愛さない」とかいうのは、個人的には理由としては、ちょっと違うような気がします。

お見合い当日がクライマックスですが、そこからは怒涛の茶番劇。
そんな都合よくいくかい、と突っ込みたいところです。
いろんな問題を一挙に片づけようとしているので、そんな馬鹿な…というような展開になるのは、仕方がないんでしょうかね。
悪人がいきなりいい人になり、すべての問題はあっさりと片付いていく…よくあるドラマの最終回みたいです。
「人を愛せない」と言っていた鞠結のトラウマも暗所恐怖症も、いきなりなくなったたみたいで、あらら…。

でも、テンポよく、暗くならず、最後まで面白く読ませるストーリーで、これは面白かったです。真っ直ぐな天竜も、カッコよかった。
とりあえずハッピーエンドですが、今後の彼らはちょっと心配ですね。
とくに鞠結は、お世継ぎを残さなければならない立場のひとですから…。お父様は認めていらっしゃったようですが、周りが黙っていないでしょう、ホモなんて…(笑)。
でも天竜が守ってくれるのかな。彼なら、何があっても、そうしてくれそうです。
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