0Hｚ－ゼロヘルツ-

織田高正（おだこうせい）×渡浩輔（わたりこうすけ）

栗色の髪を自然に後へ流した、明るく甘い雰囲気の浩輔と、黒髪短髪で硬派な男らしい雰囲気の織田は、身長も同じくらいで、課は違えどトップの営業マンで、そして共にゲイで、好みも同じ、でもって二人とも“タチ”。
・・・とつまり二人は『ライバル』なわけです。
いおかさんの別の本で、やはりどっちが上に・・・というのがありますが、ご本人の中では別に流行ってるわけではないそうです。この本では勝負は最初から確かに決まってます。
個人的には、明るく爽やかなこちらの方が好き。

お互い目立つ二人で、まわりからもライバルとして見られていますし、本人たちもバリバリに意識しています。仕事面では営業の対象が違うから直接の対決はないものの、恋に関しては、好みが同じでいきつけのバーも同じとなれば、自分が狙っていた相手を掻っ攫われたりもするわけで、いまいましさも倍増（笑）。
そんな時、社のコピー機をレンタルしている会社から毎週点検にやってくる星川（ほしかわ）に、浩輔は目をつけます。しかし、もちろん織田も星川に目をつけているわけですね。

浩輔が星川と飲みに行く約束をとりつけると、なんと織田まで一緒にいる。お互いを牽制しつつ、暗黙のコンビネーションで恋人の有無を確かめるなど息のあったところも見せています（笑）。嫌いあってるはずなのに、実はお互い気が合いそうじゃん…と感じられて面白いですね。
そして、お互いに相手を酔い潰してしまおうと飲み対決を始め、結局揃って沈没してしまうというのも何とも。
考えてることもやってることも同じな二人に苦笑してしまいます。この辺りのエピソード、楽しくて面白かった。

そんな二人が、星川が巻き込まれたセクハラトラブルを解決するために一時的に手を組むような形になって接点が増え、そしてだんだん・・・という展開です。
織田の元彼が出てきて、浩輔が自覚なくやきもきしたり。
織田の反応で、織田の気持はなんとなくわかるんですが、最後に実は前から・・・というのはお約束だけど良いですね。
実は前から好きだったんだってのは、やっぱり収まり良いです（笑）。
楽しく読めました。