![]() | 雪花の契り 秋山みち花 / 北畠あけ乃イラスト 笠倉出版社 クロスノベルズ2007-08 by G-Tools |
「帰ってきたよ――おまえに復讐するために」
花房伯爵家の跡取り・薫の前に現われたのは、かつての親友であり忘れられない男・桂木だった。学生時代、薫の父の商略により桂木家は破産。全てを失い単身アメリカへ留学する彼を、薫は物陰から見つめるしかなかった。
八年後、艶めく容姿の薫とは対照的に精悍な風貌となって男は戻ってきた――瞳に憎悪の光を宿して。
複雑な想いを胸に秘めた薫は、憎しみをぶつけるような口づけに翻弄され!?
花房伯爵家の跡取り・薫の前に現われたのは、かつての親友であり忘れられない男・桂木だった。学生時代、薫の父の商略により桂木家は破産。全てを失い単身アメリカへ留学する彼を、薫は物陰から見つめるしかなかった。
八年後、艶めく容姿の薫とは対照的に精悍な風貌となって男は戻ってきた――瞳に憎悪の光を宿して。
複雑な想いを胸に秘めた薫は、憎しみをぶつけるような口づけに翻弄され!?
桂木堯弘(かつらぎたかひろ)×花房薫(はなぶさかおる)
同い年、25歳くらい。
親友同士の再会もの。
大正の初め頃のお話です。
そんなに珍しい話ではないと知りつつも北畠さんのイラストに惹かれたという理由だけで購入。
すれちがい、そして復讐劇・・・という感じですね。
共に伯爵家の嫡男で、学習院では同級で親友、片や大名家、方や公家の末裔と出所は違っても、家は同じ貿易商を営んでいます。
親友と言っても、なんとなく胸ときめく特別な秘された想いがどちらにもあるような感じ。二人で撞球の勝負をして、勝ったら言いたいことがあるという桂木の言葉に、言いたいことというのは「告白」と読者には匂ってきます。
ところが、もともと苦しくなりはじめていた桂木の家が、商売上の取引で花房に負け、とうとう破産。桂木家は全てを失くし、それが花房のせいであると周囲に言われてしまいます。
桂木を救いたい薫は、父に桂木への学費援助を頼みます。そして、桂木の矜持を守るために、桂木には二度と会わないと約束する。
援助を受けた桂木は、それが薫によるものと知らないまま、アメリカ留学に旅立つことになります。
しかし、その前に薫に会いにきた桂木は門前払いを食わされ、自分の家が没落したことで、薫からつきあいを絶たれたと誤解。
ひとり港で隠れて桂木を見送る薫の心情も知らぬまま、薫への復讐心を抱いて、桂木はアメリカへ出発します。
それから八年、桂木は薫の援助した学費によって大学を卒業し、大きな貿易会社を興して、薫に復讐するために日本に戻ってきます。
そして薫に向けられる侮蔑と攻撃。花房家は、父が軽い心臓発作で倒れ、決して安泰とは言えない状況なのですが、そこにことごとく、桂木の持つ貿易会社からの妨害が入ってくるわけです。
知らないこととはいえ、桂木の身を思う一心でずっと援助をしてきたのに、桂木の仕打ちのひどいこと(笑)。薫の胸のうちが切ないです。
桂木にしてみれば愛ゆえに憎さが募ってのことなんでしょうけど。でも、薫側にたってみれば、理不尽ですね。もともと桂木家の没落は花房のせいとは言えないですしね。その理不尽さが切なさに拍車をかける。
でも、あんまり悪意の人はいなくて、桂木にしても恋情あってのことですし、薫にずっと片思いしていた同級生の兄・植村誠一(うえむらせいいち)もいい人だし、薫の父も筋の通ったちゃんとした人なので、全てが解れていくと、あれよあれよと甘い感じになっていきます。
唯一、植村の弟・誠二が薫に冷淡ですが、もしかして桂木に横恋慕してるのかな~と思っていたら、どうやらブラコンのせいだったようです。今後兄弟ものとかもありやなしや?
パターンではありますけど、安心して読めました。
時代の雰囲気が切なさをさらに盛り上げてます。古風と切なさはよく合いますね。好きな人が船に乗って二度と会えないかもしれないところへ離れていく…なんて別れは、現代ではあんまり拝めませんもんね。人ごみに押されて落とした攻めの学帽を、こっそり拾って抱きしめて泣くなんてね。情緒あります。
北畠さんのイラストも良かったです。
同い年、25歳くらい。
親友同士の再会もの。
大正の初め頃のお話です。
そんなに珍しい話ではないと知りつつも北畠さんのイラストに惹かれたという理由だけで購入。
すれちがい、そして復讐劇・・・という感じですね。
共に伯爵家の嫡男で、学習院では同級で親友、片や大名家、方や公家の末裔と出所は違っても、家は同じ貿易商を営んでいます。
親友と言っても、なんとなく胸ときめく特別な秘された想いがどちらにもあるような感じ。二人で撞球の勝負をして、勝ったら言いたいことがあるという桂木の言葉に、言いたいことというのは「告白」と読者には匂ってきます。
ところが、もともと苦しくなりはじめていた桂木の家が、商売上の取引で花房に負け、とうとう破産。桂木家は全てを失くし、それが花房のせいであると周囲に言われてしまいます。
桂木を救いたい薫は、父に桂木への学費援助を頼みます。そして、桂木の矜持を守るために、桂木には二度と会わないと約束する。
援助を受けた桂木は、それが薫によるものと知らないまま、アメリカ留学に旅立つことになります。
しかし、その前に薫に会いにきた桂木は門前払いを食わされ、自分の家が没落したことで、薫からつきあいを絶たれたと誤解。
ひとり港で隠れて桂木を見送る薫の心情も知らぬまま、薫への復讐心を抱いて、桂木はアメリカへ出発します。
それから八年、桂木は薫の援助した学費によって大学を卒業し、大きな貿易会社を興して、薫に復讐するために日本に戻ってきます。
そして薫に向けられる侮蔑と攻撃。花房家は、父が軽い心臓発作で倒れ、決して安泰とは言えない状況なのですが、そこにことごとく、桂木の持つ貿易会社からの妨害が入ってくるわけです。
知らないこととはいえ、桂木の身を思う一心でずっと援助をしてきたのに、桂木の仕打ちのひどいこと(笑)。薫の胸のうちが切ないです。
桂木にしてみれば愛ゆえに憎さが募ってのことなんでしょうけど。でも、薫側にたってみれば、理不尽ですね。もともと桂木家の没落は花房のせいとは言えないですしね。その理不尽さが切なさに拍車をかける。
でも、あんまり悪意の人はいなくて、桂木にしても恋情あってのことですし、薫にずっと片思いしていた同級生の兄・植村誠一(うえむらせいいち)もいい人だし、薫の父も筋の通ったちゃんとした人なので、全てが解れていくと、あれよあれよと甘い感じになっていきます。
唯一、植村の弟・誠二が薫に冷淡ですが、もしかして桂木に横恋慕してるのかな~と思っていたら、どうやらブラコンのせいだったようです。今後兄弟ものとかもありやなしや?
パターンではありますけど、安心して読めました。
時代の雰囲気が切なさをさらに盛り上げてます。古風と切なさはよく合いますね。好きな人が船に乗って二度と会えないかもしれないところへ離れていく…なんて別れは、現代ではあんまり拝めませんもんね。人ごみに押されて落とした攻めの学帽を、こっそり拾って抱きしめて泣くなんてね。情緒あります。
北畠さんのイラストも良かったです。
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