![]() | 無罪世界 木原音瀬著 / よしながふみイラスト リブレ出版 ビーボーイノベルズ2007-09 by G-Tools |
詐欺まがいの仕事、賭け事で借金まみれの人生。そんな山村に顔も覚えていない親戚の遺産の話が転がり込んできた。
浮かれた山村だったが、その遺産には厳しい条件がついていた。幼い頃さらわれて以来、ジャングルで育った従兄弟・宏国の世話をするというものだ。
自分の「むら」しか知らず、日本語も解さない宏国と暮らさざるを得なくなり、いざとなったら放り出す気で引き受けた山村だったが……。
浮かれた山村だったが、その遺産には厳しい条件がついていた。幼い頃さらわれて以来、ジャングルで育った従兄弟・宏国の世話をするというものだ。
自分の「むら」しか知らず、日本語も解さない宏国と暮らさざるを得なくなり、いざとなったら放り出す気で引き受けた山村だったが……。
山村仁史(やまむらひとし・28歳)×榊宏国(さかきひろくに・22歳)
詐欺紛いの、浄水器訪問販売員×ジャングル育ちの青年という組み合わせ。
攻めの山村は、大変木原さんらしいろくでなし。そして受けの宏国は、2歳の時にブラジルでさらわれて20年間インディオの部族の元で暮らし、発見されて日本に連れ戻されたばかりで、言葉どころか生活習慣も常識も、少しでも文明的人間的なところは全くない・・・そうですね、獣と同じです。
もう木原さんだと思えば驚くには値しないですがね(笑)
宏国みたいな子が発見されたら、それはもう個人の力だけでどうこう出来る世界じゃないと思うんだけど、山村は宏国を保護し言葉や生活習慣、社会の仕組を教えることになってしまう。それを引き受けることで遺産の半分がもらえるからです。
金に目がくらんで引き受けるものの、全く意思の疎通ができない相手との生活は想像以上に困難を極めます。山村はろくでなしですから、半年たったら遺産を前借りして姿を晦まそうなどと考えていますが、宏国の育ったジャングルに精通している医師と知り合うことで、その苦労は多少軽減されます。
山村一人ではにっちもさっちもいかない状態なので、この医師がでてきてくれたときには、すごくホッとした(笑)。だからいなくなってしまった時には「ええ~!」(笑)。
様々なトラブルを抱え込みながらも、初めは肉欲から、そしてやがてそれが情、愛情へ・・・と変わっていくわけですが、宏国は劇的な成長を遂げるわけではないので、目に見えて、二人の愛情が盛り上がる・・・なんてことはないわけです。
“感情”のような抽象的なものを、いちいち区分けしたり考えたりしない宏国が、身体を張って山村を守ったことだけが、宏国が山村に抱く“感情”の答えなんですもんね。
山村も、一人で生きようとした結果、こういうろくでなしな男となって詐欺紛いの道を歩くことになったわけで、最後に弁護士に言われたように正しい道を選ぶこともできたのにそうしなかったのは、奇麗事を言っていられなかった環境とやはり本能のせいだと思うんですよ。同じように、宏国も、環境と本能が今の状態を作り上げた。
ラストはとても良くて、余韻のあるいい締めでした。
しかし。
これが普通の小説なら、こんなんもありだと思いますが、「BLとして」というと、困っちゃうくらいに“萌え”がなかった。あくまで私的に、ですけど。う~ん…これには萌えられん。
このあとの、南の島で暮らす2人になら、萌えられそうな気がしますが…。
最期はハッピーだし、これは「イタさ」も全然感じませんでした。
普通に“読み物”として面白かった。
詐欺紛いの、浄水器訪問販売員×ジャングル育ちの青年という組み合わせ。
攻めの山村は、大変木原さんらしいろくでなし。そして受けの宏国は、2歳の時にブラジルでさらわれて20年間インディオの部族の元で暮らし、発見されて日本に連れ戻されたばかりで、言葉どころか生活習慣も常識も、少しでも文明的人間的なところは全くない・・・そうですね、獣と同じです。
もう木原さんだと思えば驚くには値しないですがね(笑)
宏国みたいな子が発見されたら、それはもう個人の力だけでどうこう出来る世界じゃないと思うんだけど、山村は宏国を保護し言葉や生活習慣、社会の仕組を教えることになってしまう。それを引き受けることで遺産の半分がもらえるからです。
金に目がくらんで引き受けるものの、全く意思の疎通ができない相手との生活は想像以上に困難を極めます。山村はろくでなしですから、半年たったら遺産を前借りして姿を晦まそうなどと考えていますが、宏国の育ったジャングルに精通している医師と知り合うことで、その苦労は多少軽減されます。
山村一人ではにっちもさっちもいかない状態なので、この医師がでてきてくれたときには、すごくホッとした(笑)。だからいなくなってしまった時には「ええ~!」(笑)。
様々なトラブルを抱え込みながらも、初めは肉欲から、そしてやがてそれが情、愛情へ・・・と変わっていくわけですが、宏国は劇的な成長を遂げるわけではないので、目に見えて、二人の愛情が盛り上がる・・・なんてことはないわけです。
“感情”のような抽象的なものを、いちいち区分けしたり考えたりしない宏国が、身体を張って山村を守ったことだけが、宏国が山村に抱く“感情”の答えなんですもんね。
山村も、一人で生きようとした結果、こういうろくでなしな男となって詐欺紛いの道を歩くことになったわけで、最後に弁護士に言われたように正しい道を選ぶこともできたのにそうしなかったのは、奇麗事を言っていられなかった環境とやはり本能のせいだと思うんですよ。同じように、宏国も、環境と本能が今の状態を作り上げた。
ラストはとても良くて、余韻のあるいい締めでした。
しかし。
これが普通の小説なら、こんなんもありだと思いますが、「BLとして」というと、困っちゃうくらいに“萌え”がなかった。あくまで私的に、ですけど。う~ん…これには萌えられん。
このあとの、南の島で暮らす2人になら、萌えられそうな気がしますが…。
最期はハッピーだし、これは「イタさ」も全然感じませんでした。
普通に“読み物”として面白かった。
この記事へのコメント
こんにちは~、みむさん!
えええ~!
ジャングルで育ったんですか~?!
獣と同じなんですか?!
(´Д`) =3 ハゥー
私もこれ、先日届いたんですけど・・・私に読めるかな?
「萌え」を感じられるかどうか心配になってきました・・(笑)
えええ~!
ジャングルで育ったんですか~?!
獣と同じなんですか?!
(´Д`) =3 ハゥー
私もこれ、先日届いたんですけど・・・私に読めるかな?
「萌え」を感じられるかどうか心配になってきました・・(笑)
2007/10/12(金) 13:21 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
>水月さん、こんにちは~。
個人的にですけど攻めがジャングル育ちだったら、私は萌えられたかもしれません(笑)
萌えのポイントはそれぞれ、些細なことに感じる場合もありますから、とりあえず読んでみては~!
しかし、水月さんのツボにはどうかな…やっぱ難しいかな…?(笑)
個人的にですけど攻めがジャングル育ちだったら、私は萌えられたかもしれません(笑)
萌えのポイントはそれぞれ、些細なことに感じる場合もありますから、とりあえず読んでみては~!
しかし、水月さんのツボにはどうかな…やっぱ難しいかな…?(笑)
2007/10/12(金) 19:51 | URL | mimu #-[ 編集]
こんばんわ~。
確かに萌えはないですね、萌えは!! いわれてみれば。
この作品、よしながさんの挿絵にばかり目が行ってしまい、あんまり作品として堪能できなかったです…。
続きだったら確かに萌えられるかも知れないですね…。っていうか、続きのほうが読みたいです!!
TBよろしくお願いします。
確かに萌えはないですね、萌えは!! いわれてみれば。
この作品、よしながさんの挿絵にばかり目が行ってしまい、あんまり作品として堪能できなかったです…。
続きだったら確かに萌えられるかも知れないですね…。っていうか、続きのほうが読みたいです!!
TBよろしくお願いします。
こんにちは~!
私も続きに興味があるんですよね。
もうちょっと人間的になってくれれば、拙くても可愛いと思えるような気もするし。
お話は面白かったですが『萌え』には到りませんでした。
『よしながさん』お好きなんですね~。
同じことが私の場合『国枝さん』で起こります(笑)
TBありがとうございます~!
こちらからもお願いに上がります。
私も続きに興味があるんですよね。
もうちょっと人間的になってくれれば、拙くても可愛いと思えるような気もするし。
お話は面白かったですが『萌え』には到りませんでした。
『よしながさん』お好きなんですね~。
同じことが私の場合『国枝さん』で起こります(笑)
TBありがとうございます~!
こちらからもお願いに上がります。
2007/10/13(土) 16:18 | URL | mimu #-[ 編集]
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2007/10/12(金) 22:28:01 | 貴腐人の館 -BLマンガ・小説