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BL読書感想日記※※※ 詳しくはカテゴリーの「このブログについて」をご覧下さい。

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4199004564シンクロハート
剛しいら著 / 小山田あみイラスト
徳間書店
キャラ文庫2007-10-27

by G-Tools

事件を推理し始めると、犯人の意識と同調してしまう――。特殊な能力を持つ犯罪心理分析官・藤丸空也の今回の任務は、薬物連続殺人犯の捜査だ。現場で指揮を執るのは、警視庁のエリート警部・陵知義。ところが、調査中、空也が犯人とシンクロしてしまった!
いつもの優しく内気な空也が一変、別人のように妖艶に陵を誘惑する……。
翻弄された陵は、欲望に負けて空也を抱いてしまうが!?
陵知義(みささぎともよし・32歳)×藤丸空也(ふじまるくうや・26歳)
警視庁警部×犯罪心理捜査官

幼少からアメリカで暮らし犯罪心理分析官となっていた空也は、次々に事件を解決に導きますが、自分が犯人と同調しその人格の境界が曖昧になってしまうことに恐れを覚え、仕事を離れ日本に帰国します。
しかしアメリカでの上司によって、空也は日本に警視庁に紹介され、犯罪心理捜査官として登録されてしまう。
そして、心の不安が拭えないうちに、空也の元に仕事の依頼が舞い込んできます。

薬物を使った連続殺人が疑われる事件。それを指揮し、空也を呼び出したのは、警視庁のエリート警部・陵(みささぎ・攻)。
空也は犯人像を推理し始めますが、詳細が明らかになるにつれ、空也の意識は再び犯人と同調するようになって行きます。そんな空也の疲弊を心配する母の存在が仕事に差し支えると、空也はホテル住まいをしようとするのですが、陵から同居を勧められて、二人は事件解決のため一緒に暮らし始めます。


最近新刊でよく見る「不思議な能力」としても楽しめるのですが、それ以外にも、普段は内気で優しげな空也が犯人と同調し、自信家で妖艶な男に変身して攻を誘惑する…というBL的な楽しみもあります。ただ、空也は完全に我を忘れているわけではなく、いつもの自分が顔を出し、陵もそういう空也を見誤ることなく“空也自身”を見つめようとするスタンスなので、誠実な話運び。
そして同調することによって犯人に近づいていく、そちらの楽しみもありました。

攻めの陵は、絵に描いたようなエリートで、容姿はもちろんですが生活も行動も人生さえも『エリート街道』を歩むことを意識しています。警視庁のトップから参議院議員になった父に非常に影響され、父に認められたいという気持ちが彼を動かしている。
受けの空也もまた、世界的IT企業のトップを父に持ち、アメリカで16歳で大学に入学した天才ですが、子供の頃は心臓が弱く、死にかけたこともあることから、父からは「自由に生きていい」と言われています。偉大な父に認められることを目標にしている陵と、父の跡を継ぐ息子ではいられなかった空也、『父』という存在がキーワード的で、犯人にもやはり『父』が関わっているという符号。

そして、「シンクロハート」というタイトルは、空也が犯人にシンクロするという意味ももちろんあると思うんですが、陵と空也の「シンクロハート」という意味合いの方が強いかなと思いました。
分析能力は秀でているものの、その分析癖から人間関係が上手く行かず、不器用で子供のようなどこか頼りない空也を、初めからちゃんと理解して空也に居心地の悪さを感じさせない陵。だからこそ、空也は陵に惹かれ、陵は空也に保護本能を掻きたてられて、それが恋愛へと変わっていくんですが、なぜお互いが同調し合えるのか理由付けがはっきりされていたらもっといいかなと思いました。ただの相性の問題のように思えましたので、贅沢を言えば、もっと強い結びつきが感じられたら良かったかなと。

どこを取っても道を踏み外したりしないであろう、そう生きてきた陵ですから男同士の恋愛にどう堕ちていくのかというのも興味がありました。空也に方には当然その不安はありましたしね。
けれど何某かの抵抗とか葛藤は意外なほどなく、陵がかなり誠実な男だったので、なんだか安心してしまった。ただ、最後の一歩はもっとはっきり、陵も踏み出して欲しいと感じましたけどね。
空也とのやりとりでは、不安定な空也に対して、陵は常に安定していて、「クー」なんて呼んだりして(アメリカ時代の空也の渾名)、恋愛面は総じて甘いです。

犯人にシンクロしてしまうという空也の不安はなくなったわけではないけれど、「自分の中に閉じ込めた自分」が同調していると考えれば、陵といることで少しずつ自分を解放して、やがて病的な同調からは抜け出せるようになるかもしれません。
そして陵も、実は冒頭に、仕事を離れ、自分を解放していたんでした。
彼の中にあったのに、捨て去っていた感情が空也によって表に現われたとしたら、陵もまた解放されたことになるのかもしれません。
形は違えど、陵と空也、そして犯人も逮捕されたことによってある意味解放されました。

いろんなキーワードが交差してシンクロしてる…そんな印象があり、なかなか面白いストーリーでした。
空也の能力は超能力のようなものとは違うので、非現実的なものが苦手でも気にならないのでは、と思います。
コメント
この記事へのコメント
こんばんは~みむさん!

こういう設定って、最近良く見かけますよね。BLの世界にも、やはり「流行」があるのでしょうか?
でも、薄っぺらな内容ではないみたいですね。なかなか楽しめそうなお話ではないですか!
2007/11/03(土) 03:38 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
>水月さん
こんにちは~!

最近変わった能力を持つ受けをよく見ますよね。
心の声が聞こえる人や相手の未来の事故を予感する人とか…他にもいた気がする。
でもこの剛さんも含めてどれも突拍子もない話にはなっていないし、能力を生かしたり、内面もちゃんと書かれていたり、面白いお話になってますね。
これも私は好きでした~!
2007/11/03(土) 06:19 | URL | mimu #-[ 編集]
こんにちはーmimuさん。私も最近こういう能力もの多いなあと思ってましたが、元々そういう設定は好きではないのもあってスルーしてきました。でもこれはなんだかよさそうなので今度買ってみますね。しかしこちらに遊びに来るようになってから課題図書が増える一方です(^^;)ようやく「契約不履行」の感想書きましたので、お暇なときにでものぞいてくださると嬉しいです。
2007/11/03(土) 11:26 | URL | かりんこ #-[ 編集]
>かりんこさん
こんにちは~!

やはり、最近「特殊能力モノ」目につきますよね。
私は元々ファンタジーっぽいものは嫌いじゃない、むしろ好きなので読む前に抵抗はないですが、それでもあんまり突拍子もなく明後日の方向にトンでいては、ついて行けない場合もあります(笑)
最近読んだ中でそこまでのはなかったですけれど。

これは超能力のようなものではなくて、一応「どうして同調してしまうのか」の理由のようなものにも触れられています。
同じ状況でも空也のようになる人はあまりいないと思うので、それでも十分特殊ではあるですけどね。

派手に特殊能力を使ってエンターテイメントを繰り広げるというのではありませんから、とっつき安いのではないかと思います。
かりんこさんのお好みに合うといいんですが~!
2007/11/04(日) 12:43 | URL | mimu #-[ 編集]
こんにちは、mimuさん。

受けが犯人にシンクロするという設定はすごく面白かったのですが、肝心の攻めにあまり好感が持てずに終わってしまいました。
どうも陵が空也に恋に落ちるという必然性がないというか。二人が恋愛しているという感じがしなかったです。
mimuさんがおっしゃるようにここらへんがもう少し踏み込んであればスッキリしたかもしれませんねえ。

TB、よろしくお願いします。
2007/11/09(金) 20:20 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こんばんは~!

総じて、面白く読みました。
ただ、道を踏み外さずにきたエリートの心境の変化も、もっと書かれていたら良かったんですが。
こういう男だから悩むのかと思っていたら、あんまり悩みませんでしたよね。
あまりに躊躇われても、それはそれでイヤだけど、熱い決意みたいなものがあっても良かったような。
やっぱり、最後を空也に言わせたのが、ちょっとちょっと・・・だったんです(笑)
陵には、せめて、ここが『決め時』だったと思うんですよ。

TBありがとうございました~!
2007/11/09(金) 20:36 | URL | mimu #-[ 編集]
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2007/11/09(金) 20:21:20 | 桃の楽園