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君が涙を溢れさす
いおか いつき著 / 高城たくみイラスト
幻冬舎コミックス
ルチル文庫(2007.3)


森末斉は28歳にしてその頭脳で広域暴力団若頭補佐の地位にある。
組長の妻のお供で日本舞踊の公演を観にいった斉は、次期宗家・宝泉道春の舞に涙を流す。斉は道春に紹介されるが、道春から、舞を極めるために足りない何かを得るため、本名の直哉として友人になってほしいと頼まれる。
斉の家を訪れる直哉と友人として過ごし始めるが、斉は次第に直哉に惹かれ……!?
宝泉道春(ほうせんみちはる・本名/直哉・なおや・22歳)×森末斉(もりすえせい・28歳)
日本舞踊次期宗家×若頭補佐

ヤクザものなんですが、殺伐としたところは全然なく、ほのぼのヤクザ?(笑)

若頭補佐の斉は、ある日組長の妻の命令で日本舞踊公演のお供を仰せつかります。日本舞踊のことなど何も知らない斉は渋々ついていきますが、一人の若い男の舞踊に目が釘付けられ、気づくと無意識に涙を流していました。
公演後、組長の妻から男を紹介され、それが宗家の跡取り・道春だと知ります。

その時は挨拶を交わしただけで、そんな出来事も斉の脳裏からは消えてしまいますが、数日後、あるホテルで道春と再会します。
道春から話があると言われ聞いてみると、道春は斉が自分の踊りを見て泣いていたことに気づいており、その意味を知りたがります。道春は宗家から、踊りに足りないものがあると言われ、斉が自分の踊りの何を見て泣いたのか、その理由を知りたがっていたのでした。そして自分の舞を見て、意見を聞かせてほしい、というんですね。
しかし、自分でもわけなどわからない斉はそれを断ります。
ところが、斉が道春と会ったことを組長の妻に一応断っておこうと話をすると、道春から踊りを習っていて、若くいい男の道春に良く思われたい妻から「つきあってあげなさい」と命令されてしまうのです。
そして、斉のマンションを訪ねてきた道春に、「友人としてつきあってほしい」と言われ、斉は断れずに道春と『友人』になることになります。

幼い頃から日本舞踊一筋に生きてきた道春は、親の過保護も加わって踊り以外のことは全く知らず、小中学生だったころにも、踊りを優先していたため『友人』を持ったこともありません。持ったことがないから、どんなものなのかもわからない。
友人と一緒に映画を見たこともないし、テーマパークに遊びに行ったこともないし、外で食事をしても、自分で食べたいものを選んで注文することも、お金を自分で払う習慣もない。たぶんバスや電車にも一人では乗れない。道春は斉がヤクザだと知っているんですが、ヤクザとは実際のところどういうものなのかもよくわかっていないよう。
しかし、本人は自分が日常生活においてはあまり普通ではないということもわからないので、そのことで悩んだりもしません。修学旅行参加を踊りのために自分の意思でやめた道春は、クラスメートに「行かれなくてかわいそう」と言われても、何がかわいそうなのかもわからなかったんですね。

そんな世間知らずで何でも珍しがり嬉しがる道春とつきあううちに、斉は、素直な道春といることに安らぎを覚え、惹かれていくようになります。
道春の方は恋さえも知りませんから自覚はありませんでしたが、実は最初から斉には惹かれていたようです。自分から友達になってほしいなどと言ったのは人生で初めてでしたから。

“育てもの”とまではいかないんですが、ちょっとそんな雰囲気もしつつ。
恋愛に派手な展開はなく、いつのまにか好きになってた、という感じでした。
斉と同じ若頭補佐で対立する男に道春の存在をかぎ付けられて脅され、道春の立場を守るために二度と会わないと決意したりもするんですが、道春は組長妻のお気に入りですから、鶴の一声で解決。
経済ヤクザの斉は悪徳金融会社を経営してはいますが、部下たちも会社の雰囲気もなんだかとってもほのぼのしていました。

世間知らずでHが初めての攻めにオバサンの母性本能がくすぐられ、なんとも可愛らしかったですが、お話はさほど盛り上がった感じはしなかったですね。こういうお話も好きですけども。

斉は、イラストのせいでヤクザと言うより(元々ヤクザに見えないという設定なんだけど)「中学生のツッパリくん」に思えてしょうがなかったです。
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