![]() | 心理療法家の愛罪 遠い恋花火、めばえる渇恋 柊平ハルモ著 / 朝南かつみイラスト オークラ出版 プリズム文庫2007-11-23 by G-Tools |
怜悧な美貌の持ち主であるカウンセラーの白石朔夜は、極道の組長、緒方大斗を担当している。
理性的で職務熱心な朔夜だが、倣岸不遜な大斗に対しては、本来ならば抱くことを許されない個人的な感情を消せないでいた。
そんな朔夜に大斗は異常な執着を示し、罪深い『秘密』を隠したストイックな白衣を乱そうとするが・・・。
身体はつながっても、心はつながれない。
拒絶と渇望の中ですれ違う、罪深い欲望に溢れる夜の行方は!?
理性的で職務熱心な朔夜だが、倣岸不遜な大斗に対しては、本来ならば抱くことを許されない個人的な感情を消せないでいた。
そんな朔夜に大斗は異常な執着を示し、罪深い『秘密』を隠したストイックな白衣を乱そうとするが・・・。
身体はつながっても、心はつながれない。
拒絶と渇望の中ですれ違う、罪深い欲望に溢れる夜の行方は!?
緒方大斗(おがただいと・30歳)×白石朔夜(しらいしさくや・28歳)
暴力団組長×心理カウンセラー
裏表紙から引用させていただいています↑のあらすじですが、これに関してはちょっと煽りが過ぎるというか・・・これではわからない、「解離性同一性障害=多重人格障害」のお話です。
暴力団組長の大斗は、幼い頃の誘拐、その後に続いた監禁虐待をきっかけに「多重人格」となってしまいます。10歳のとき、精神科医だった朔夜の父の患者となりますが、精神科医の間でも「多重人格」という病の存在を認めないものは多く、朔夜の父は病院を辞め、カウンセラーとなって大斗の病の回復に尽力しました。
そして父と同じ道を歩んだ朔夜は、父が大斗の回復を見ず二年前に亡くなったのをきっかけに、大斗を引継ぎ、その治療にあたってきました。
お話は、大斗の人格の統合が進み、完全に本来の『大斗』を取り戻す、その直前のエピソードから始まります。
ずいぶん昔に「24人のビリーミリガン」をいう多重人格者を扱った本が話題になったことがありますが、読まれたことありますか? その後も同系の本が何冊も発行されましたけど、あの手のを読んでいると大斗の状態が理解しやすいですね。
朔夜の父と、朔夜の尽力によって、10年をかけて大斗の人格は統合の一歩手前まで進みます。その時大斗の中に現われたのが、「統合」のために朔夜の協力者となる『彼』という人格でした。
大斗を元の大斗に返すために現われた『彼』は、優しく落ち着いていて穏やかで紳士的で、治療の困難の際も、時には父のように朔夜を頼らせ、時には恋人のように朔夜を包んでくれる人格でした。
そして、朔夜は許されないことに、大斗の中のその『彼』に恋をしてしまうのです。
決して口には出されない想いですが、『彼』の方もおそらく。
しかし、カウンセラーとしての朔夜の矜持は、この芽生えた恋を捨てる選択しか与えません。
朔夜と、『彼』の努力によって、残っていた人格の統合がされ、そして『彼』の消える日がやってきます。
お話のメインはこのあとで、自分を取り戻した大斗と、大斗の中にあった『彼』への想いを抱く朔夜との、とても複雑な恋愛模様・・・といいましょうか。
本来の大斗というのがまた、『彼』とは似ても似つかない野性的で不遜な人物で、自分の手によって消したとは言え、『彼』の存在に取って変わった『大斗』の存在は、朔夜にとって苦しみでしかなく、大斗に憎しみさえ感じます。
もちろん本来がその大斗なので「取って変わった」わけではないし、理性の部分では朔夜にも重々わかっていますから、その後の経過を見るためにも、カウンセラーとクライアントとして、朔夜は心に渦巻く憎しみを隠して大斗に接しようとします。
しかし、幼い頃の誘拐をきっかけに心に傷を負うことになった大斗は、人の敵意には異常に敏感で、朔夜の欺瞞にすぐに気がつきます。
朔夜を無理矢理抱いて本音を暴こうとする大斗と、そんな大斗に抱く憎しみと怒りを爆発させてしまう朔夜。
二人の間に生まれる捻れた感情が二転三転して、ラストのハッピーによくもたどり着いたという感じ(笑)
同じ顔、同じ身体の中にいる、本来ではない別の人格に恋をする・・・とは、こりゃキツいですね。でも『彼』との恋がほとんど想い出という形しか出てこないので、主人公が恋をする相手とは正反対の大斗というキャラを受け入れることは難しくなく、そこは私にはよかったですね。
とても複雑な心理が絡まりあい、それを軌道修正していくのにちょっと感情の変化に強引さを感じないわけでもなかったのですが、練られたんだなあという感じがして、引き込まれるお話だったと思います。着眼点が変わってていいですね。
なかなか面白かったです。
「解離性障害」に絡んだお話として、「吐息まで罪の色」という本も出していらっしゃいます。読んだかしら・・と振り返ってみたら、読んで感想書いてました。ここでも私「ビリーミリガン」のことをあげて同じようなこと書いてましたね(笑)
それにしても文字の欠落や誤りが多かったですね。
これはもう「校正」なんて作業してないとしか思えないね。
本が可哀相。
暴力団組長×心理カウンセラー
裏表紙から引用させていただいています↑のあらすじですが、これに関してはちょっと煽りが過ぎるというか・・・これではわからない、「解離性同一性障害=多重人格障害」のお話です。
暴力団組長の大斗は、幼い頃の誘拐、その後に続いた監禁虐待をきっかけに「多重人格」となってしまいます。10歳のとき、精神科医だった朔夜の父の患者となりますが、精神科医の間でも「多重人格」という病の存在を認めないものは多く、朔夜の父は病院を辞め、カウンセラーとなって大斗の病の回復に尽力しました。
そして父と同じ道を歩んだ朔夜は、父が大斗の回復を見ず二年前に亡くなったのをきっかけに、大斗を引継ぎ、その治療にあたってきました。
お話は、大斗の人格の統合が進み、完全に本来の『大斗』を取り戻す、その直前のエピソードから始まります。
ずいぶん昔に「24人のビリーミリガン」をいう多重人格者を扱った本が話題になったことがありますが、読まれたことありますか? その後も同系の本が何冊も発行されましたけど、あの手のを読んでいると大斗の状態が理解しやすいですね。
朔夜の父と、朔夜の尽力によって、10年をかけて大斗の人格は統合の一歩手前まで進みます。その時大斗の中に現われたのが、「統合」のために朔夜の協力者となる『彼』という人格でした。
大斗を元の大斗に返すために現われた『彼』は、優しく落ち着いていて穏やかで紳士的で、治療の困難の際も、時には父のように朔夜を頼らせ、時には恋人のように朔夜を包んでくれる人格でした。
そして、朔夜は許されないことに、大斗の中のその『彼』に恋をしてしまうのです。
決して口には出されない想いですが、『彼』の方もおそらく。
しかし、カウンセラーとしての朔夜の矜持は、この芽生えた恋を捨てる選択しか与えません。
朔夜と、『彼』の努力によって、残っていた人格の統合がされ、そして『彼』の消える日がやってきます。
お話のメインはこのあとで、自分を取り戻した大斗と、大斗の中にあった『彼』への想いを抱く朔夜との、とても複雑な恋愛模様・・・といいましょうか。
本来の大斗というのがまた、『彼』とは似ても似つかない野性的で不遜な人物で、自分の手によって消したとは言え、『彼』の存在に取って変わった『大斗』の存在は、朔夜にとって苦しみでしかなく、大斗に憎しみさえ感じます。
もちろん本来がその大斗なので「取って変わった」わけではないし、理性の部分では朔夜にも重々わかっていますから、その後の経過を見るためにも、カウンセラーとクライアントとして、朔夜は心に渦巻く憎しみを隠して大斗に接しようとします。
しかし、幼い頃の誘拐をきっかけに心に傷を負うことになった大斗は、人の敵意には異常に敏感で、朔夜の欺瞞にすぐに気がつきます。
朔夜を無理矢理抱いて本音を暴こうとする大斗と、そんな大斗に抱く憎しみと怒りを爆発させてしまう朔夜。
二人の間に生まれる捻れた感情が二転三転して、ラストのハッピーによくもたどり着いたという感じ(笑)
同じ顔、同じ身体の中にいる、本来ではない別の人格に恋をする・・・とは、こりゃキツいですね。でも『彼』との恋がほとんど想い出という形しか出てこないので、主人公が恋をする相手とは正反対の大斗というキャラを受け入れることは難しくなく、そこは私にはよかったですね。
とても複雑な心理が絡まりあい、それを軌道修正していくのにちょっと感情の変化に強引さを感じないわけでもなかったのですが、練られたんだなあという感じがして、引き込まれるお話だったと思います。着眼点が変わってていいですね。
なかなか面白かったです。
「解離性障害」に絡んだお話として、「吐息まで罪の色」という本も出していらっしゃいます。読んだかしら・・と振り返ってみたら、読んで感想書いてました。ここでも私「ビリーミリガン」のことをあげて同じようなこと書いてましたね(笑)
それにしても文字の欠落や誤りが多かったですね。
これはもう「校正」なんて作業してないとしか思えないね。
本が可哀相。
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。
やっぱり、私も感想にビリー・ミリガンを挙げていました。多重人格というと、この話題は避けて通れないですよね。
心理的な記述や描写が多いのがツボでした。
それだけに、なかなか甘い雰囲気とはいかず、私もどうハッピーエンドに持っていくのか、ジレジレしました。
柊平さんの最近のお話はあまり読まないのですが、これは面白かったです。可愛いお話より、こういうお話をまた書いてくれないかなあと思います。
>それにしても文字の欠落や誤りが多かったですね。
そうなんですか!
ぼうっと読んでいたのか、気が付きませんでした(爆)
TB、宜しくお願いします。
やっぱり、私も感想にビリー・ミリガンを挙げていました。多重人格というと、この話題は避けて通れないですよね。
心理的な記述や描写が多いのがツボでした。
それだけに、なかなか甘い雰囲気とはいかず、私もどうハッピーエンドに持っていくのか、ジレジレしました。
柊平さんの最近のお話はあまり読まないのですが、これは面白かったです。可愛いお話より、こういうお話をまた書いてくれないかなあと思います。
>それにしても文字の欠落や誤りが多かったですね。
そうなんですか!
ぼうっと読んでいたのか、気が付きませんでした(爆)
TB、宜しくお願いします。
こんにちは!
「ビリーミリガン」はもう何年前でしたかね?
本がブームになって類似本がたくさん出て、TVでも“多重人格”だという人が特集されてたりもしましたが、実際「この人がそうだ」といわれても、俄かには信じがたい感覚もありましたので、大学を追われることになったエピソードはいかにもありそうでした。
柊平さんは時々読むんですけど、これは目の付け所が変わってて面白かったです!
複雑な心理をうまく書いていらっしゃいましたよね。
またこういうシリアス系が読んでみたいです。
文字の欠落とかって、この本に限らずBL本ではよく見るんですよね。
一般小説などで見ることはほとんどないので、本作りの姿勢とか、どうなってんのかな~と疑問に思ってしまったり・・・。
TBありがとうございます!
「ビリーミリガン」はもう何年前でしたかね?
本がブームになって類似本がたくさん出て、TVでも“多重人格”だという人が特集されてたりもしましたが、実際「この人がそうだ」といわれても、俄かには信じがたい感覚もありましたので、大学を追われることになったエピソードはいかにもありそうでした。
柊平さんは時々読むんですけど、これは目の付け所が変わってて面白かったです!
複雑な心理をうまく書いていらっしゃいましたよね。
またこういうシリアス系が読んでみたいです。
文字の欠落とかって、この本に限らずBL本ではよく見るんですよね。
一般小説などで見ることはほとんどないので、本作りの姿勢とか、どうなってんのかな~と疑問に思ってしまったり・・・。
TBありがとうございます!
2007/12/13(木) 14:39 | URL | mimu #-[ 編集]
こんばんは~みむさん!
これ、予約しようかどうか迷って、結局、予約しなかったのですよね。
興味はあるのですけどね・・。
今の状況では重いかな?とか(笑)
でも気になるし・・・(笑)
もし気になったままでしたら。また次回お願いします。
これ、予約しようかどうか迷って、結局、予約しなかったのですよね。
興味はあるのですけどね・・。
今の状況では重いかな?とか(笑)
でも気になるし・・・(笑)
もし気になったままでしたら。また次回お願いします。
2007/12/14(金) 02:48 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
こんにちは!
はいはい、わかりました!(笑)
読むのにそんなに時間のかかる本ではなかったですよ。
結構引き込まれちゃうのでどんどん読んじゃったのかな。
話は完治してからの恋愛がメインで、人格が入れ替わり立ち替わりなんてことはないので、二人の「恋愛」としてちゃんと楽しめます。
気になりましたら、どうぞ仰ってください~!
はいはい、わかりました!(笑)
読むのにそんなに時間のかかる本ではなかったですよ。
結構引き込まれちゃうのでどんどん読んじゃったのかな。
話は完治してからの恋愛がメインで、人格が入れ替わり立ち替わりなんてことはないので、二人の「恋愛」としてちゃんと楽しめます。
気になりましたら、どうぞ仰ってください~!
2007/12/14(金) 06:24 | URL | mimu #-[ 編集]
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心理療法家の愛罪 遠い恋花火、めばえる渇恋 (プリズム文庫 (kh-1))柊平ハルモ著。プリズム文庫柊平さんのお話って、受け君があまり好きではなくて随分遠ざかっていたのですが、ちょっとシリアスで硬質な雰囲気に手が出てしまいました。やっぱり受け君は小動物可愛い系より.
2007/12/13(木) 12:49:41 | 桃の楽園