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4813011675青鯉
たけうちりうと著 / 高階佑イラスト
大洋図書
SHYノベルズ2007-12-07

by G-Tools

平凡な会社員として暮らしてきた七瀬亮は、ある日突然、自分の体臭が変わったことに気がつく。いったいどうして?
そんなとき、川辺に住む老人からプールへ行くように助言される。
そこで七瀬は運命的な出逢いを果たす。
愛とか恋とか、そんな言葉では語りきれない出逢いだった――。
宇宙を巡る奇蹟のロマンス誕生!
表題作ほか吸血鬼の焦がれる想いを描いた『デリート』も同時収録。
1998年「JUNE」掲載の『青鯉』と書き下ろしショート、2000年「JUNE」掲載の『デリート』が収録されています。

表題作『青鯉』の主人公は、妻と娘を持つ平凡なサラリーマン・七瀬亮(ななせりょう・推定30代後半)。
ある日、自分の身体から異様な匂いがすることに気づかされる。
いったいなぜ?いつから?
出張帰り、川辺である老人とすれ違ったあとから・・・と気づいた亮は、老人を捜し当て自分に起きている事象が何なのか知ろうとする。しかしはっきりとした答えは得られません。
その代わりプールへ行くように助言され、そこで亮は、自分と同じ症状を持つ青年・篠田匠(しのだたくみ・21歳)と出逢う。

とっても不思議なお話です。
どうして? なんなの?と常識で測ろうとしてはいけません。
読み始めは、ちょっと怖かったんですよ。自分の身体から、汚泥のような、青臭い匂いがして、家族はもちろん、バス、電車、街中、会社、自分を取り巻く人々が眉を顰め口元を手で覆って、自分から離れ、距離を取ろうとする。想像するとすごく怖い。
カフカじゃないけれど、ある日突然魚になっていた・・・なんてことだったらどうしようかと(笑)。
実際は形態が魚になることはないんですが・・・。

身体が匂い出すと鱗紋が身体に現れる。なぜそうなるのか、なんの意味があるのか明確なことはわからない。
けれど、人間の中に確かにそういう“仲間”がいて、どうやら繁殖期になると身体が匂いだし変化が現れる。そして亮が変化したこの年、すい星の大接近があり、天体の動きもその事象には関係しているようだ。人間の性別に関係なく、男鱗女鱗があって、繁殖の周期はそれぞれに違うようで、上手いタイミングで相手が見つかるとは限らない。
亮には男鱗が現れ、匠には女鱗が現れていて、二人は出会い、急速に惹かれあいます。

亮や匠は全ての生物は水から生まれたという始まりの記憶を残した人間たちなんでしょうか。二人の水の中でのラブシーンは、まるで魚の産卵をなぞらえたようで、神秘的で美しい。
すごくファンタジックだけれど、とても印象深い綺麗なお話でした。お魚になった気持ち(笑)。
書き下ろしは、匠の義父で匠の変化を最初に診察した岡嶋(おかじま)からの手紙。匠の変化を受け止める家族たちと、匠の幸せを願う暖かい思いやりが感じられます。

『デリート』は吸血鬼・霧原(きりはら・32歳)と、ある青年・天野秀一郎(あまのしゅういちろう・23歳)のお話。
霧原は吸血鬼ですが、何百年も生きてきたというわけではありません。家系のどこかに吸血鬼が存在していたのか・・・その遺伝子を持っているという感じです。
血を必要とはしますが、パートナーを決め、その人以外からは吸わない。血を見ると発情して、SEXをしながら血を吸うようです。
ただ霧原には感情がなく、怒りも寂しさも感じることはなく、パートナーになった相手にも愛情を感じることはありません。相手はやがて愛情の感じられない霧原から離れていく。

グラフィックデザイナーとして仕事をする霧原のもとに臨時の派遣社員として手伝いにきたのが天野です。それまでいたパートナーと別れていた霧原は、天野が指先に怪我をしたのを見たのをきっかけに天野を抱いて血を吸ってしまう。
しかし、天野は従順で大人しく純粋すぎて、霧原のパートナーになれば、彼のような尽くし型の人間は死なせてしまうと危惧した霧原は、天野を突き放そうとします。
しかし天野は聞き入れず、次第に冷静さをなくして、自らを傷つけても霧原に抱かれようとするようになっていく・・・。

霧原は、「この世界のどこかにまだ見ぬ最愛の、秀でたるただ一人の人が生きているかもしれない。私の感情が封印されているのは、そのひとに出逢うまで悩んだり苦しんだりしなくて済むようにプログラムされているからだと思う」と言っています。そしてその相手を“天使”と呼んでいる。
それは天野を退けるための詭弁だったかもしれませんが、そんな霧原が自分だけの“天使”を見つける。
こちらもまた不思議な非科学的な展開で、とてもわかりにくいのですが、『青鯉』も『デリート』も、数奇な運命の中で、運命の人と出逢うお話だと思います。
『デリート』は、2000年発行ということで、2000年問題を絡めてるのかな。

携帯がまだ広まる前のお話ですが、最近ではあまり見られなくなったタイプのBLで、かえって斬新な感じがします。
『青鯉』はすごく好きでしたね。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。

このお話、買おうと思ってチェックしていたんですが、本屋さんで手に取るとなにやら難しそうと思って止めてしまいました。

読んだところが、亮が奥さんに別れを言われるところだったので、ちょっと痛かったのかも。

mimuさんが、いいとおっしゃるなら、きっといいんでしょうねえ・・・(まだ、迷ってます・笑)
2007/12/23(日) 10:15 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こんばんは!

いかにもJUNE風というかちょっと耽美な香りもするお話ですね。
奥さんが結構キツイこと言ってましたけど、話の流れからするとそんなに痛くないですよ(笑)
奥さんがキツくなるのにも実はこのお話らしい理由があります。

惚れた、くっついた、というだけのお話とはちょっと違うのですが、変わった感じが読みたい時にいいかも?
2007/12/23(日) 20:37 | URL | mimu #-[ 編集]
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