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世界でいちばん愛しい翼
神奈木 智著 / 桃月はるかイラスト
幻冬舎コミックス
ルチル文庫(2007.3)


新米教師として赴任して2か月。有沢行哉は、廊下にひとり佇む男子生徒が気になったが声をかけずにいた。
ある日、映画館で痴漢にあっていた若い男を助けた行哉は、それが以前気になったあの生徒・榊原夏那だと知る。
それ以来、学校でも夏那とよく会い、話をするようになった行哉は次第に夏那に惹かれていく。
そして思わず夏那にキスしてしまい……。
有沢行哉(ありさわゆきや・23歳)×榊原夏那(さかきばらなつな・17歳)
教師×生徒
「世界で一番愛しい翼」
「世界で一番優しい背中」の二編。

雑誌ルチルで桃月はるか/神奈木智で連載されていた「ときどき、世界は美しい」(コミック)のスピンオフだそうです。そちらは読んでいないのでわかりませんが、主役カップルに絡む形で出ていたと思われる行哉がこちらでは主人公になっているようです。
コミックの方は最近発売になってますよね。

数学教師の行哉は、ある日数学準備室の近くの廊下で、一人ポツンと寂しげに佇む一人の生徒を見かけます。
どことなくほおっておけないような風情を漂わせる彼が気になりましたが、自分の受け持ちクラスでも担任というわけでもなく、新人の行哉は「自分の仕事ではない」と、その場は声もかけずに通り過ぎてしまいます。

しかし、その数日後、一人入った古い名画座で行哉が映画を見ていると、自分の座った席の後で痴漢にあっているその生徒・榊原夏那に遭遇。助けたことをきっかけに、校内でも夏那を見かけるたびに、彼が気になるようになります。
そして、再び後日、今度は本屋で万引きをする夏那を見つけてしまい、理由を聞くために一緒にラーメンを食べたのをきっかけに、学校でもよく会い、話をするようになります。

夏那には双子の弟・冬那(ふゆな)がいて、見た目はそっくり同じなのに、成績もスポーツも自分より優秀で、小説が有名な賞を貰い有名人である冬那にコンプレックスを抱いていました。
優れた部分は全て冬那が持っていき、自分はその絞りかすでできている・・・と考えている夏那は、決して大人しい性格というわけではないのですが、何かにつけ有名な弟と比べられたり引き合いに出されることを疎んで、校内でも意識して目立たないように振る舞い友人も遠ざけているようなところがありました。
行哉の前では強気に振舞ったりしますが、時折繊細な傷ついた素振りを見せる夏那に、行哉は惹かれていきます。

そして夏那も行哉に特別な思慕を抱いていることに、行哉は気づいてしまうんですが、『教師』とか『大人』という意識に縛られた行哉はとってもずるいんですね。
行哉は、「適当に楽しければいい」というスタンスで日々や人間関係をスイスイと渡ってきたようなタイプ。そうなってしまったのは彼なりに苦い経験があってなんですが。
教師になったのも特に熱血な思いがあったわけではなく、なんとなく『本気』を避けているような、そんなイメージが感じられます。とは言っても心底いい加減に生きているわけではなく、実は傷ついたり傷つけたりすることが怖くて、逃げているんですけどね。

夏那に惹かれているのに、行哉は「教師だから」とか「夏那のためだから」とか、そんな体裁ばかりを考えて生まれかけている恋から逃げようとします。
夏那のいじらしい気持ちに気づいているのに、分別ある大人のふりではぐらかしたり、嘘をついて逃げようとしたり。そのくせ、衝動でキスなんてしてしまい、そのあと「ごめん」などと謝ったりして夏那を傷つけ、かなり怒りを買うタイプの攻めになってました(笑)
大人の分別という点からいえば、行哉の逡巡は大いに理解できるのですが、「BLにおいての攻め」という点でいえば、あまりに弱腰。
行哉もまだ23歳なんで十分悩める年頃ですが、17歳を振り回してどうするという思いはどうしても沸いてしまう。

救いは行哉視点なので、行哉の本音も弱さも全部見えるというところかな。
相手に負担をかけないように、そして自分も傷つき過ぎないようにわざと軽く振舞い、実は胸の奥がチクチクしているのにそれも見ないふりをして過ごそうとする、そんな感じがあって、夏那に対しての態度にも、それは同じように感じます。

結局は行哉もまた、傷ついて臆病になってる人なんですよね。
いろいろ目が覚めたようなので、これからはきっちりと夏那を受け止めてくれるかな?またグラグラしたら、夏那が可哀相。
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