![]() | それは言わない約束だろう 久我 有加著 / 桜城ややイラスト 新書館 ディアプラス文庫2008-01-10 by G-Tools |
旨くて安いと評判の定食屋、いせや。大学生の公彰は、そこで働く竜一に「ほんまに美味しそうに食べるから」という理由で気に入られ、彼に構われながら夕食をとるのが日課になっていた。
ある日、公彰は竜一が本気でお笑いの道を目指していることを偶然知ってしまう。芽が出ないまま、もうすぐ十年。ふだんは能天気にさえ見える竜一の思わぬ真剣さに、夢を持てない公彰は憧れを抱くようになるが・・・。
ある日、公彰は竜一が本気でお笑いの道を目指していることを偶然知ってしまう。芽が出ないまま、もうすぐ十年。ふだんは能天気にさえ見える竜一の思わぬ真剣さに、夢を持てない公彰は憧れを抱くようになるが・・・。
里村竜一(さとむらりゅういち・31歳)×宮地公彰(みやちきみあき・19歳)
お笑い芸人を目指す、定食屋料理人×大学生
「それは言わない約束だろう」
「世界で一番大好きだ」の二編。
「何でやねん!」や「月も星もない」と、ちょっとリンクしています。
バンテージ、パイロットランプ、前述の主人公たちの名も出てきてます。でもこれだけでも大丈夫。
去年の暮れ、『M-1グランプリ』(結成10年以内の漫才コンビが対象の漫才トーナメント)で優勝したコンビも長い下積みがあったようですが、下積みの末に陽の目を見たなら苦労話も笑えるけれど、ずっと日陰のままで終わってしまうコンビの方が、たぶんはるかに多いでしょう。
久我さんの書かれた“バンテージ”や“パイロットランプ”は、そういう点ではどちらかというと恵まれていて、彼らなりに苦悩はあったとしても、わりと早い段階から表舞台に出た人たちです。
今回、やはりお笑い芸人を目指す攻・竜一は、パイロットランプとは、養成所の同期です。この本の中ではパイロットランプの二人はゴールデンタイムに番組を持てるような売れっ子として出てきます。
しかし、竜一は彼らとは同じ出発でありながら、表舞台に出ることなく十年が経とうとしている男。お笑いで成功するコンビではなくて、『日陰』で終わってしまう側のお話です。
お相手は大学生の公彰。(コンビを組んでいるわけではなくて、竜一の相方は他にいます。)
大学生になってひとり暮らしをしていて、夕食は近所の安くて旨い定食屋にお世話になっている。普通の青年ですが、将来の夢とか、夢中になるほど好き、というものが何もなくて、それがちょっとコンプレックスになっています。
美味しいものを食べると無意識にニッコリ微笑んでしまうクセのある公彰は、定食屋の竜一に面白がられているのか、しょっちゅう構われています。竜一は、のほほんとしていて、何も考えていなさそうなヘラヘラした笑いを浮かべていて、公彰はちょっと苦手。
けれど、ある日、寒空の下、相方と漫才の練習をする竜一を見てしまい、竜一が長い下積み生活中で、それでも夢を諦めずに頑張っているということを知ります。
いつもヘラヘラしている男の意外な一面を知り、自分にはない“夢”を持つ男に憧れを抱き、そしていつしかそれが恋心に。わかりやすい経過ですね。
ところが、竜一が夢を諦めようとしているのを知り、自分は夢さえ持てないのに、簡単に夢を捨ててしまう竜一を責めてしまう、その気持ちもよくわかる。
本当はやめたくないという本音を公彰に指摘され、激怒して公彰に八つ当たり的に手を出してしまう竜一の気持ちも。
かたや華やかに成功しているカップルたちの影で、挫折していく竜一には、その方がずっと多いんだとわかっていても、ちょっと寂しい気持ちになってしまいますね。
竜一は料理を作ることも本当に好きなようだけれど、その辺をもっと突っ込んで書いてくれたら、寂しい気持ちももっと薄らいだかもしれない。
ひとまわりの年の差カップルですが、竜一がまだ道半ばの途上にいて迷っているのと、公彰が、その素直で可愛らしい面とは裏腹に、意外にしっかりしていて大人な部分も持っているので、そんなに年齢差は感じませんでした。夢を諦める際に、泣く竜一を受け止めることができるくらいだし。
「世界で一番大好きだ」は竜一視点になり、一回り年下の可愛い恋人に、メロメロのデロデロになってる30代のおっさんの様子がおかしいです。
いちいち公彰が可愛くて、心中で「ぐわぁ~!」と吼えたり身悶えたりしている顎髭の30男が、面白いなぁ。でも、気持ちわかるんですよね(笑)。 公彰可愛いですもんね。
大事に大事に、大切に大切にしようとして、Hも一気にいかないで、公彰のことを考えている竜一が優しくていいなと思います。ラブラブでしたね。
あとがきに、さらに4年後の二人のことが書いてあって、幸せそうでようござんした。
お笑い芸人を目指す、定食屋料理人×大学生
「それは言わない約束だろう」
「世界で一番大好きだ」の二編。
「何でやねん!」や「月も星もない」と、ちょっとリンクしています。
バンテージ、パイロットランプ、前述の主人公たちの名も出てきてます。でもこれだけでも大丈夫。
去年の暮れ、『M-1グランプリ』(結成10年以内の漫才コンビが対象の漫才トーナメント)で優勝したコンビも長い下積みがあったようですが、下積みの末に陽の目を見たなら苦労話も笑えるけれど、ずっと日陰のままで終わってしまうコンビの方が、たぶんはるかに多いでしょう。
久我さんの書かれた“バンテージ”や“パイロットランプ”は、そういう点ではどちらかというと恵まれていて、彼らなりに苦悩はあったとしても、わりと早い段階から表舞台に出た人たちです。
今回、やはりお笑い芸人を目指す攻・竜一は、パイロットランプとは、養成所の同期です。この本の中ではパイロットランプの二人はゴールデンタイムに番組を持てるような売れっ子として出てきます。
しかし、竜一は彼らとは同じ出発でありながら、表舞台に出ることなく十年が経とうとしている男。お笑いで成功するコンビではなくて、『日陰』で終わってしまう側のお話です。
お相手は大学生の公彰。(コンビを組んでいるわけではなくて、竜一の相方は他にいます。)
大学生になってひとり暮らしをしていて、夕食は近所の安くて旨い定食屋にお世話になっている。普通の青年ですが、将来の夢とか、夢中になるほど好き、というものが何もなくて、それがちょっとコンプレックスになっています。
美味しいものを食べると無意識にニッコリ微笑んでしまうクセのある公彰は、定食屋の竜一に面白がられているのか、しょっちゅう構われています。竜一は、のほほんとしていて、何も考えていなさそうなヘラヘラした笑いを浮かべていて、公彰はちょっと苦手。
けれど、ある日、寒空の下、相方と漫才の練習をする竜一を見てしまい、竜一が長い下積み生活中で、それでも夢を諦めずに頑張っているということを知ります。
いつもヘラヘラしている男の意外な一面を知り、自分にはない“夢”を持つ男に憧れを抱き、そしていつしかそれが恋心に。わかりやすい経過ですね。
ところが、竜一が夢を諦めようとしているのを知り、自分は夢さえ持てないのに、簡単に夢を捨ててしまう竜一を責めてしまう、その気持ちもよくわかる。
本当はやめたくないという本音を公彰に指摘され、激怒して公彰に八つ当たり的に手を出してしまう竜一の気持ちも。
かたや華やかに成功しているカップルたちの影で、挫折していく竜一には、その方がずっと多いんだとわかっていても、ちょっと寂しい気持ちになってしまいますね。
竜一は料理を作ることも本当に好きなようだけれど、その辺をもっと突っ込んで書いてくれたら、寂しい気持ちももっと薄らいだかもしれない。
ひとまわりの年の差カップルですが、竜一がまだ道半ばの途上にいて迷っているのと、公彰が、その素直で可愛らしい面とは裏腹に、意外にしっかりしていて大人な部分も持っているので、そんなに年齢差は感じませんでした。夢を諦める際に、泣く竜一を受け止めることができるくらいだし。
「世界で一番大好きだ」は竜一視点になり、一回り年下の可愛い恋人に、メロメロのデロデロになってる30代のおっさんの様子がおかしいです。
いちいち公彰が可愛くて、心中で「ぐわぁ~!」と吼えたり身悶えたりしている顎髭の30男が、面白いなぁ。でも、気持ちわかるんですよね(笑)。 公彰可愛いですもんね。
大事に大事に、大切に大切にしようとして、Hも一気にいかないで、公彰のことを考えている竜一が優しくていいなと思います。ラブラブでしたね。
あとがきに、さらに4年後の二人のことが書いてあって、幸せそうでようござんした。
この記事へのコメント
私も昨夜この本の感想書こうかと思ったんですが、睡魔に負けてしまいました。でもM1ネタも含め書きたかったことは殆どmimuさんと同じみたいなので、書かなくてよかったかなと(笑)来月も「月も...」の続刊が出るし、楽しみです!
こんばんは♪
えー、そんなこと言わないで書いて下さいよ(笑)
M-1グランプリで優勝したコンビが、一夜明けたら取材が殺到して世界が変わった…とTVで話してるのを丁度お正月に見たばかりで、このお話も妙にリアルに感じてしまいました。
現実にも彼らの姿を見て、竜一と同じように感じてる人間がたくさんいるんでしょうね・・・。
やっぱり夢を諦めるのって寂しいですよね。
料理の世界に同じように情熱を傾けることができるといいと思います。
パイロットランプの続編も楽しみですね!
えー、そんなこと言わないで書いて下さいよ(笑)
M-1グランプリで優勝したコンビが、一夜明けたら取材が殺到して世界が変わった…とTVで話してるのを丁度お正月に見たばかりで、このお話も妙にリアルに感じてしまいました。
現実にも彼らの姿を見て、竜一と同じように感じてる人間がたくさんいるんでしょうね・・・。
やっぱり夢を諦めるのって寂しいですよね。
料理の世界に同じように情熱を傾けることができるといいと思います。
パイロットランプの続編も楽しみですね!
2008/01/16(水) 19:27 | URL | mimu #-[ 編集]
こんばんは~みむさん!
これ、私も予約してありますよ!
でも、1冊、同時に予約した本が「延期」になったので、まだ届かないみたいです。ま、読む本はたっぷりあるので良いけれど。
あ、「月も星もない」が2月に続編が発売にbりますが・・こちらももうしっかり予約済み!(笑)
これ、私も予約してありますよ!
でも、1冊、同時に予約した本が「延期」になったので、まだ届かないみたいです。ま、読む本はたっぷりあるので良いけれど。
あ、「月も星もない」が2月に続編が発売にbりますが・・こちらももうしっかり予約済み!(笑)
2008/01/17(木) 04:44 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
こんにちは~!
某ネット書店は、延期本があるとそっちに合わされてしまうのが、ちょっと困りモノです・・・(笑)
まとめて予約で買うのっていいなとは思うんですけどね。
こちらも関西弁のノリで読みやすくて面白かったです。
「月も~」も楽しみですよね~!
某ネット書店は、延期本があるとそっちに合わされてしまうのが、ちょっと困りモノです・・・(笑)
まとめて予約で買うのっていいなとは思うんですけどね。
こちらも関西弁のノリで読みやすくて面白かったです。
「月も~」も楽しみですよね~!
2008/01/17(木) 08:18 | URL | mimu #-[ 編集]
この記事のトラックバックURL
http://0hz.blog112.fc2.com/tb.php/844-f49fc8cf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック