0Hｚ－ゼロヘルツ-

陣内拓朗（じんないたくろう・37歳）×天海泰雅（あまみたいが・29歳）
探偵×ヤクザ

「さよならを言う気はない」の続編。
しがないヘタレ中年探偵と、美形の凶暴ヤクザの半年後。
今回、天海の弟が登場し、天海が現在ガンで危険な状態となっている母と会ってくれるよう、陣内は説得を頼まれます。
天海は、少年の頃、暴力を振るう父を殺し少年院に入りましたが、院を出る際、母親に引取りを拒否されていました。それ以来母とも弟とも顔を合わせたことはなく、その結果、暴力団の会長の愛人となり現在の天海へと繋がっていくわけですが、当然ながら、天海が母に会おうとするわけがない。
しかし、弟と陣内に説得され、母が「会いたい」と言っているという言葉を聞いて、天海は危篤の母の病室に向かいます。しかし。

相変わらず殴られる蹴られると可哀相な陣内。
そんな二人の関係が、前作ではちょっとコミカルさを漂わせたりもしましたが、今回は天海の内面に踏み込んで、ちょっとシリアスな雰囲気を感じました。実際天海の抱える過去って相当に重たいですしね。
そんな中で陣内は一本筋の通った強さや暖かさも見せていました。確かに靴下に穴があいてたり、ズボン下を着用してたり、額にはシワが増えてきた・・・なんて、BLにあるまじき冴えなさですけど、こういう内面があるから、どんなに冴えない中年でも天海は陣内に恋してしまうんだろうなと思えます。
どんなに情けなくても、陣内は絶対に天海を受け止めるものね。というか、天海が心から頼り寄りかかれるのは陣内だけ、と１２年想い続けてしまう気持ちもわかるものね。
天海をお母さんに会わせたのは、酷だなぁと思わないでもなかったのですが・・・。

天海は究極のツンデレさんだと思うのですが、今回は陣内への気持ちが溢れ出てましたね。すごく可愛かった。あの天海さんですから、そりゃ、素直な愛情の示し方ではありませんけども。
「お前に捨てられたら、俺は駄目になっちまう」なんて、あの天海に言われたら、地団駄踏みたいくらいいとおしいですよね。
とっても面白かったです。