0Hｚ－ゼロヘルツ-

吉井恭平（よしいきょうへい・24歳）×吉井操（よしいみさお・17歳）
血のつながりのない兄弟の、次男と三男。
「ピンクのピアニシモ」
「Good Day to Love」の二編。

春らしく（？）ほんわかほんわかした家庭内恋愛のお話でした。
吉井家の両親は、自分たちが同じ境遇だったことから、子供を作らずに施設から親のない子供をひきとって育ててきました。
長男の晴吾（せいご）、次男の恭平、三男の操はそれぞれに血の繋がりはありませんが、本当に幼い頃から一緒に育ち、両親が突然の交通事故で亡くなったあとも、兄弟3人で暮らしています。
晴吾と恭平は自宅をオフィスに翻訳の仕事をし、操は高校生。
そして操は、穏やかでいつも優しい晴吾に、秘めた恋心を抱いています。

しかし、晴吾に結婚を約束した女性がいることが知れ、操は失恋。
いつも操をからかい、意地悪ばかりしていた恭平に慰められますが、ある日、実は恭平が自分をずっと好きだったと知ってしまいます。

意地悪だと思っていた恭平の、わかりにくい優しさと愛情に気づき、失恋よりも恭平の存在が気になってしかたない操。その気持ちわかりますねぇ。
長男から次男へ、と言いようによっては変わり身早いかもしれないけど、弱ってるところに、今まで見えなかった優しさに気づかされたら、そりゃグラグラするだろうと思う（笑）。また恭平のやり方が結構ニクイしね。
しかし、恭平を好きになったと操が気づいたのに、そんなこととは知らない恭平は、操から離れようとしてしまうのですから、ああ、じれったい。

書き下ろしの「Good Day to Love」では恋にぶきっちょな操を恭平が暖かく受け止めていていい感じ。

ギスギスしたところが全然ないし、男3人で暮らす家庭なのに、長男は家庭菜園をしていたり、次男は料理が上手だったり、三男は掃除が趣味だったり、アットホームな空気に癒されます。
「ピンク」のタイトルを裏切らない、甘いお話でした。