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4344812972スローリズム
杉原理生 / 木下けい子
幻冬舎コミックス
ルチル文庫2008-03-17

by G-Tools

水森に毎週2回必ず電話をかけてくる矢萩は、高校のときからの付き合いで一番身近に感じられる友人。だが、高校生の頃、ゲイであることを告白した矢萩はすました顔をして「安心しろよ。おまえだけは絶対好きにならない」と言い放った。
あれから12年。その言葉どおり水森と矢萩はずっと友達でいるが……。

矢萩智彦(やはぎともひこ)×水森秋人(みずもりあきひと)
27~8歳くらいでしょうか。
高校からの同級生で親友同士。
「スローリズム」雑誌掲載
「スローリズム2」書き下ろし の二編。

高校で知り合い友人となった二人の、12年目にやっと動きだす恋のお話。
親しくなった頃、矢萩(攻)から「ゲイ」だと告白されうろたえるものの「お前だけは絶対好きにならない」という矢萩の言葉をそのまま信じ、友人としてつきあってきた水森(受)。
“友人”としての位置をずっと失わないために徹底して気持ちを抑えてきた攻めと、人の気持ちにも自分の気持ちにも呆れるほど鈍感な受けのお話です。

矢萩が自分を抑え続けていられたのは並外れた忍耐力以外に、そうすることがいいんだと思い込んでいるからと受け取れました。
気持ちが通じ合ってからも、独占欲や嫉妬を感じる自分の方が間違っていると自分に怒っているように見受けられます。
友人関係を壊すこともですけど、恋人になってさえ、水森にとってこれでいいのか不安になり、なかなか本音を告げられない。

自分から言い出せない攻めに対するお相手の水森が、これまた鈍感なタイプですから、これではなかなか恋も始まりませんね。
他には代わりを見出せないような存在になっていて、矢萩はもちろん、水森も矢萩の存在を大切に思っているから、友人としてはもう無二の関係を築いているわけです。
その友情の上に、水森の心の中では友情以上のものがいつのまにか育っていたわけですが、水森は12年前矢萩に言われた一言を心の中でずっと引き摺っていて、矢萩の態度も自分への特別な好意だとは思えないし、二人の間にある微妙な空気が“恋愛”だとはなかなか思えない。

そういう二人がゆっくりと、時にはじれったく、友人から恋人へと変わっていきます。
水森は、確かに鈍感過ぎですけど、気持ちを自覚すると、向かっていくのはむしろ水森の方なのですね。
矢萩は見た目や態度はそうでもないけど、中身がヘタレで気弱過ぎだと思います(笑)。

そこまで弱気になるな!とちょっとだけイラッとしないでもなかったですが、出会ってすぐに運命を感じたりどうにかなってしまうお話に比べると、気持ちの丁寧な軌跡を感じる点で、ドラマ性はなくても自然で身近に感じられます。
ごく普通の青年同士が、迷ったり立ち止まったりすれ違ったりしながら気持ちを通わせていく。
実はこういうタイプのお話が私は一番好きなのでした。
コメント
この記事へのコメント
mimuさん、こんばんは~。私もこれ読みましたよ~。本当にスローペースでしたけど、ほんわかとよいお話でしたね。
ご指摘の通り矢萩のへたれぶりに較べると、案外水森の方が感情表現がストレートだったかも。ただあまりにも鈍感さんでしたけど(^^;)
2008/03/25(火) 22:23 | URL | かりんこ #-[ 編集]
>かりんこさん
こんにちは、かりんこさん~。

突然恋に落ちるのも夢のようでステキですが、ゆっくり恋をするというのも良いですよね~。

水森ってホントに鈍感でした(笑)
でも人に指摘されるとちゃんと考えを伝えようとしたり、悪いと思って謝ったりして素直だし、「ここは」という時は真っ直ぐ向かってましたよね。
矢萩は、水森に土俵際に追いつめられるまで本音を言わなくて、歯がゆい攻めでした(笑)
2008/03/26(水) 07:22 | URL | mimu #-[ 編集]
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