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ドメスティックラブドメスティック ラブ~家庭内恋愛~
花本ロミオ / 桜遼
Hugノベルス(2008.3)


年の離れた兄に育てられた加賀美京平は、自他共に認める超ブラコン。ところが、最愛の兄は突然の交通事故で亡くなってしまい、それをきっかけに甥の利騎の後見人になることに。
それから十年の月日が流れ、利騎は養父を超えるほどに成長した身体の中に京平への想いを秘めるが、一方で京平の兄の親友だった柏木も積極的にアプローチしてくる。
ところが、渦中の京平はどうにもヘタレでズレていて――!?
加賀美利騎(かがみとしき・18歳)×加賀美京平(かがみきょうへい・32歳)
甥と叔父。そして養子と養父の関係です。


極度のブラコンの京平は、兄の結婚というショックをきっかけに実家を離れ大学生活を送っていました。ところが突然の交通事故で兄夫婦が他界。
残されたまだ8歳になる甥・利騎を引き取り、養子にして、二人きりで暮らしています。

大好きな兄を、そして両親を失った当初、二人はベッドで添い寝していました。そして10年経った現在、18歳、190センチとなった利騎と京平は、未だに添い寝しています。
添い寝を始めたきっかけは、「自分(京平)が寂しかったから」。

受の京平は、もともとブラコンで甘ったれ体質ですが、32となった今でもそういう面は全く成長しておらず、なんとも頼りない、ヘタレで、天然気味。ぼんやりさんというか、子供のような32歳なのだ。
兄の事故をきっかけに車に乗れなくなってしまい、それでも乗っては失神している。ネクタイも上手く結べないし、パンにバターを塗ればバターケースの中をパンくずだらけにしてしまう。
とても庇護欲をそそるタイプなのですね。

それに対して攻の利騎は、両親を亡くした8歳のときから、子供らしくない非常にしっかりした子供。成長した今でもなんでもこなし、現在は身体もデカいし、態度もふてぶてしい。
京平の子供、という位置ではありますが、一緒に暮らして10年、利騎が京平の面倒を見て支えてきたというのが正しい二人の関係です。

視点がグラグラするので戸惑うのですが、概ね京平視点です。
ずっと自分が守っているつもりだった利騎に実は守られ依存してきた「父」の京平が、利騎の存在を子供としてではなく、“男”として、恋愛という意味での愛する対象として認識するまでが、面白おかしく書かれています。
ベッドが窮屈になって、別寝をすることにしたのをきっかけに、今までの日常にポツポツと微妙に甘い瞬間が起こります。
そして兄の親友の魔の手(笑)、京平の見合い、利騎の進学と、変化していく生活が、二人の間も変化させていく。

花本さんは初めて読みましたが、この作品はユーモアのある文章で、面白かったです。
「ちゃかす」ような視点で書かれる京平自身や、京平と利騎の会話。ドタバタギャグではなく、クスッと笑いたくなるような軽妙な会話や文章が楽しかったですね。
要所にちりばめられた、そういうユーモアもですが、兄の親友・柏木が、媚薬を京平に盛ろうとして、自分が飲んでしまったのには噴出しそうになりました。媚薬を飲んで辛抱たまらなくなった攻の男は見たことないかもです。マヌケすぎる。

展開がちょっと無理やりなところも感じましたが、「しっかりものの養子×頼りない養父」はわりとツボに嵌まり、好きなお話でした。
あとがきの後にあるSSの最後締めの一文がおかしかった。

ただ、非常に残念なことに、校正ミスが多すぎました。
同じ文が二度繰り返されていることが何度も、また会話の途中でいきなり「ナイシュー!(利騎は部活でバスケットをしているのですが、何の関係もない場所の会話で)」と入っていたり(何故こんなことになるのか)、明らかに文章が抜けていると思われる部分もありました。誤字抜字も大量。

それでも面白いのですが、本当に本や作者様が可哀相。
私が編集長だったら、担当者を締め上げるところですが(笑)、まあそれは置いておいて、出版社さんのHPで、このミス本の交換についての告知をしています。コチラ
今忙しいんで面倒くさいんですけど、期限はないそうなので気が向いたら送ります・・・。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。

面白そうですね!
この本、一度は本屋さんで手にしたものの、攻めが18歳と若すぎて取り落としてきました。

せめて、20代前半くらいならOKなんだけどなあ。でも、mimuさんのレビューを読んで、俄然買う気になりましたvv

校正ミス、あまり多いとBLだから手を抜いたのではと疑ってしまいます。お金を貰う以上、出版社さんにはしっかりしてもらいたいですね。
2008/03/27(木) 16:12 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こんにちは、桃さん。

10代は、桃さんはNGですもんね~。
18歳より頼りない32歳が相手で、子供子供したところは全然ないので、そんなに『高校生』を意識するようなことはありませんでした。
ただ進学の話は出てきますけどネ。

こういう関係って結構ツボみたいで楽しめました。
ズレた会話も面白かったし~。

でも、ミスは本当にひどかったです。
一般小説ではこういうのにはまずお目にかからないのに、BLになるとたびたび目にするのは、やはり「大量に出せばいい」と思ってるからではないのかと姿勢を疑ってしまいますよね。
今回のは、言っちゃ悪いけどこれを見過ごした方の仕事能力を疑ってみるべきだと思いますよ。

お貸ししてもいいんですけど、この本じゃねぇ~・・・。
もしお買いになるのでしたら・・・たとえばP46の文末とP47の文頭が同じ文章じゃないかどうかチェックしてみてください(笑)
2008/03/27(木) 19:17 | URL | mimu #-[ 編集]
こんばんは~みむさん!

この作家さんは初めてですね~。
なかなか面白そうな内容ではないですか?!

で・・校正ミスがそんなに多いの?!1箇所や2箇所の誤字なら目をつぶってもいいかも・・ですが。
どうしてそんな箇所のミスを見逃したのかしら?
で、頼りない養父?ヘタレさんなのね?面白い設定かもですね?!
2008/03/29(土) 00:06 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
>水月さん
こんにちは、水月さん。

私はわりと好きなお話でしたよ。
「年上だけど頼りない庇護欲をそそる受」は自分の好みの範疇だと気づきました。

で、ミスなんですけど、商品として成り立たないのではないかと思うくらいひどいです。
前に木原さんの本で文章がごそっと抜けてるのがあったけど、あれに更に様々なミスを重ねた感じだな(笑)
原稿を出して、一旦印刷しても、ゲラチェックするじゃないですか。
どうしてこんなことになるのか不思議。
うっかりにもほどがあるから、何かのアクシデントでもあったと思う方が自然かも。
2008/03/29(土) 07:20 | URL | mimu #-[ 編集]
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