
岩本薫 / 九號
幻冬舎
ルチル文庫(2008.3)
「秘書ってぇ字は、なんでか不思議と淫靡だよな」――俺様で暴君なカリスマ写真家・入間亘は初対面でそう言い放った。
そんなムカつく男とやむなく関わることになった敏腕美人秘書の奥村○也は、酒に酔った勢いで、なぜか自ら誘った上で貞操を奪われるという事態に陥ってしまう。
入間には気を許すまいと誓う奥村だが……!?
そんなムカつく男とやむなく関わることになった敏腕美人秘書の奥村○也は、酒に酔った勢いで、なぜか自ら誘った上で貞操を奪われるという事態に陥ってしまう。
入間には気を許すまいと誓う奥村だが……!?
入間亘(いるまわたる・30歳)×奥村(おくむらゆきや・32歳)
カリスマ写真家×ユニフォーム製造会社秘書(その後、マネージャーに転身)
「だからおまえは嫌われる」
「素直じゃない男」
「素直すぎる男」の三編。
ビーボーイノベルズで発行のものの新装版(書き下ろしあり)です。大幅改稿。
ユニフォーム製造販売会社『白美ユニフォーム』専務秘書の奥村は、創業五十周年記念の式典に配布する写真集を作れという無理難題を押し付けられます。
カメラマンとして名指しされたのは、若手ながらカリスマ的人気を誇るカメラマン・入間亘。
入間と会った奥村は、その俺様な態度にムカつきを覚えますが、打ち合わせで飲んだ翌朝、ベッドで自分と入間が全裸で添い寝しているのに気づき驚愕します。
しかも自分が誘ったと聞かされ呆然。
しかし仕事を始めると、入間のカメラマンとしての才能は素晴らしく、トラブルも前向きに乗り越えていく入間の仕事ぶりには感嘆させられます。
反面、入間のセクハラ紛いの下ネタにはウンザリ。
感心したり、怒ったり、心が揺さぶられているうちに、いつのまにか・・・というわかりやすいパターンですね。
しかし、奥村はツンデレさんなので、なかなか一筋縄には甘い雰囲気にはならないのですけど。
「だからおまえは嫌われる」では奥村は『秘書』ですが、ある出来事のせいで奥村は会社を退社。「素直じゃない男」では、期限付き入間のマネージャーになっていますので完全なる『秘書』ものではないんですね。
しかも奥村の前身は、ダークな世界に身を置いていたということになっていて、その経験を生かして、上司の横領を暴くために探偵(空き巣?)のようなことをしたり、「素直じゃない男」では、過去に関わりのあった男がロシアから奥村を闇組織に引き込もうと狙ってきたり、密輸銃が出てきたり・・・と、いったいどういう方向を狙ったのか?とちょっと実は話の行方を見失いそうになってしまいました。
非日常な設定に凄く違和感が。
ただのオフィスものじゃないという意味での面白さはあるかもしれませんが。
そうかと言って、激しいドンパチがあるわけでもないんですけど。
「だからおまえは」の「おまえ」は入間のことだと思いますが、どっちかっていうと素直じゃなさ過ぎる奥村の方が、私に言わせれば「嫌われちゃいますよ」と言う感じ(笑)。
よくいるツンデレさんですけど、個人的な好みから言わせてもらうと、ツンツンしてても“滲み出る可愛げ”が足りない。
オレサマで横暴で不遜で、下ネタ大魔王だけど、奥村には一途な入間のちょっと抜けてる三枚目なポジションが可愛らしかった。
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