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密やかな欲望密やかな欲望
洸 / 亜樹良のりかず
海王社
ガッシュ文庫2008-5

「お前、意外といいやつだったんだな」この男の笑顔は、心臓に悪い・・・。東間は不機嫌な顔でメガネを押さえた。
自分にはないものを持っている彼がずっと苦手だった。――精悍で男らしい容姿、仕事ができて頼れる男。嫌味なくらい完璧なその同僚・鷹見と、男性化粧品の宣伝広告を共同企画することになった東間。仕事をするうちに、東間は全く違う価値観を持つ鷹見に惹かれていく。
けれど、残酷な結末を迎えた初恋の記憶が、東間を臆病にして・・・。
欲望は溢れだす、二度目の恋。
鷹見仁(たかみじん)×東間光輝(あずまこうき)
広告代理店勤務、同期。二人とも20代半ばくらい。

「密やかな欲望」「終わりなき欲望」の二編。

設定も定番の、ごくごく普通のリーマンものです。
二人は同期入社で同じ部に配属。攻は男らしく精悍な容姿に仕事も出来、頼りがいもあって周囲の人望も厚い。
対して受は、男らしいとはほど遠い“綺麗”な顔をメガネで隠し、人付き合いが苦手で一見冷淡そう。「本当はあんな(攻のような)男になりたかった」と羨望と反発で苦手意識を持っていて鷹見を寄せつけないため、二人に接点はありませんでした。
それが、一緒に組んで仕事をすることになって、・・・というわけです。

わかりやすいですね~。定番中の定番です。
でもこの定番がなぜかとても心地良く、好きでした、このお話。

東間にはまたお約束のように傷ついた過去があり、そのせいで対人関係に頑なで臆病で不器用なため、鷹見を好きだと自覚しても素直な態度には出られません。口ではツンツン中身はグラグラ・・・ツンデレさんですね。どっちかと言うと「デレツン」らしいんですけど、どう違うの?(笑)
口では冷たいことを言っても、すぐに「しまった」と顔に出てしまい、鷹見が見てないところでは、こっそりキスしちゃってうろたえたり寝顔に触れたりしてしまう東間がとても可愛い。
鷹見が同じ年で、受け止める側も一緒にグラグラしてしまうとやっかいなことになりますが、鷹見は余裕かましてるわけじゃないのに、東間の気持ちを汲んでやることができ、優しく包容力があるので、安心してグラグラできますね(笑) 外見だけじゃなく中身もいい男。

一緒に仕事をして、同期なのでタメ口で時には言い合い、時には自分の秘密を打ち明けあったりしながら、相手を知って、惹かれ合っていく。
ごくごく普通ですが、これがとても自然でした。
東間の過去の傷が再び表に出るようなことがあって、この「普通」に影を落としますが、大袈裟な展開にせずに煽らないところもいいと思います。こんな時、攻めが拳でカッコよく決着をつけてもいいけど、なかなかそんな暴力普通はお目にかかれないでしょ。この方が日常的、「普通」だなと思う。

惹かれたり、意地を張ったり、不安になったり、嫉妬したり、そういう「恋愛感情」が無理なく入ってくる、普通のリーマンのオフィスラブでした。
だけど、私は実はこういうのが一番読みたいのです。
派手な舞台や凝った設定はいらない(笑)。
しかしそういう目で本を探そうとすると、読むものがなくなってしまうんですよ。
久しぶりに気持ちよ~く読めて大満足。

初版にはSS付のイラストカードがついていますが、そちらは風邪引きの鷹見を東間が看病するお話。
普通だ~、そして攻めの風邪は私の大好きなシチュエーション。
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