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ビューティフル・プアビューティフル・プア
榎田尤利 / 稲荷屋房之介
リブレ出版
ビーボーイノベルズ 2008-5


「貴族でも、そうじゃなくても、あなたはあなたでしょう?」
父親の命で、遠い異国へとやってきた玲一郎。貧乏のあまり、自らを売りにだした侯爵・アロウが所蔵する絵画が目的だ。
彼を求めて大富豪が集まるなか、唯一庶民の玲一郎はなんとか侯爵に近づこうとする。
その超絶美貌にも揺らがなかった玲一郎だが、彼の人柄に触れるうちに、なぜだか心から笑う顔が見たくなり――。
津村玲一郎(つむられいいちろう・27歳)×アロウ・ラファイエット(27歳)
画商×侯爵

トリニティア王国の若き侯爵ラファイエットは、極貧に喘いでいました。
喘いでいた・・・というのはちょっと合わないか。
電気もガスも止められ、使用人は二人だけ。彼らの給金さえ滞り、それでも清く正しく生きていましたが、とうとうにっちもさっちも行かなくなって、自分を売る決意をします。
一年間の契約で共に過ごすパートナーを募集したラファイエットの元に、玲一郎は、父から唆されてラファイエットの持つ絵画を狙いパートナーの選考パーティーに参加します。
玲一郎を含め第一次審査で5人が残り、彼らはラファイエットの屋敷で最終選考のため共に生活するのですが・・・。

貴族の広大な屋敷での生活と聴いて想像するような華麗な毎日は、ラファイエット家にはありません。
その清貧生活ぶりがとてもコミカルで面白いです。
玲一郎は今でこそ画廊の息子で名画を扱う仕事をしていますが、子供の頃には貧乏体験もしています。予想と違う貴族の極貧生活に戸惑いはしますが、「昔取った杵柄」じゃないけど、無理なく順応して役に立つところを見せるなど、他の王子や金持ちよりも「頼れる男」的な感じがしていいですよね。金はないけど(笑)。
そして侯爵は生まれこそ貴族なものの、作業着で薪割りはするし、リュックにカゴを持って村に食料を貰いに行ったりと高貴で美しいのに行動は庶民的で親しみやすい。優しく、穏やかで、村人たちにも愛され、ボロは着てても心は錦のそのものみたい。
泣いて鼻水をたらしたり、また「鼻水垂れてますよ」と指摘してしまう玲一郎も、二人とも魅力的です。

とても軽快に読めるのですが、榎田さんだけあって、コミカルなだけではありません。
ラファイエットの背景にはシンミリさせられてしまうし、ラストではホロリ、そしてホワンとさせてくれます(なんのこっちゃ。笑)
お金が大事か、愛が大事か、そんな深淵なテーマについても考えさせられます。

1年間の身売りでその後屋敷や森や援助する孤児院を持ちこたえていくことができるのかー。いったいどのくらいのお金なんだ?
天使のガブリエルの絵に隠された秘密とか、候補者たちの裏で進行する陰謀とか、興味を惹かれる仕掛けもあって、最後まで面白く読めました。




・・・・そういえば榎田さんの「菫の騎士」を読むのを忘れていたのを今思い出した。
コメント
この記事へのコメント
初めまして
こちらの記事は、いつも的確で参考になるなーと思いながら、楽しく読ませていただいてます。
ビューティフル・プア、私もすごく面白く読みました。
さすが榎田さん、ていう感じでしたよね!
ただ一つだけ気になったのは、「終わりよければすべてよし」というのが日本のことわざと書かれてたことです。
「終わりよければすべてよし」って、シェークスピアの戯曲で日本のことわざではないですよね。。。
舞台はイギリス風(?)仮想国ですが、少なくともヨーロッパの貴族に言うセリフとしてはどうよー、と思ってしまいました。
ではでは。。。
2008/06/09(月) 10:37 | URL | りり #YGHstA2A[ 編集]
こんにちは、mimuさん。

拝金主義者の玲一郎と貧乏でも心は錦の公爵のチグハグな会話がおかしかったです。

玲一郎は嫌なタイプの拝金主義ではなく、言っていることにもっともなことも多かったです。

まあ、お金と愛と、極端な話し、片方だけではやっていけないと思います。

榎田尤利さんのお話は、人情味が溢れているので、読後感も良かったですね。BLによくあるエロい身売り話ではないのが、さすが榎田尤利さんだと思いました。

「菫の騎士」もキラキラファンタジーでしたよ。

2008/06/09(月) 16:54 | URL | 桃 #-[ 編集]
>りりさん
はじめまして、りりさん。
書き込みありがとうございます!
いつも見てくださるとのこと、嬉しいです~。

身売り話はよくある設定ですが、コミカルで、そしてしんみりして、榎田さんらしいファンタジーでした。

>「終わりよければすべてよし」
確かにそのとおりですね。
意味の方に気を取られてサラッと流してしまいましたが、本場の人に引用してみせるのもね(笑)
実際には、すでにシェークスピアを離れて、独自の言い回しのように使われている感も強いので、元々は戯曲の名前だと知らないかたもいるかもしれませんね。

どうぞよろしかったらまたお気軽に遊びに来て下さいね~!
2008/06/09(月) 19:47 | URL | mimu #-[ 編集]
>桃さん
こんにちは、桃さん。

玲一郎は確かにお金にウルサいようですが、金の亡者というわけでもなく、却ってその現実感覚が地に脚が着いてて頼れそうで好感持てました(笑)
ヨーロッパの貴族でもボロタオルをぞうきんに縫ったりするのか・・・と驚きましたけど、漂う庶民感覚が、榎田さんらしくて面白かったです。
確かに、湿っぽい自虐的な身売り話ではないところが良かったですよね。

「愛とお金」・・・確かにお金がないと愛も磨り減っていくってこともありますな(笑)

「菫の騎士」、今読んでます~。
こちらも心の美しい受様ですね(笑)
TBありがとうございましたv
2008/06/09(月) 19:55 | URL | mimu #-[ 編集]
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2008年5月発売ノベルスビューティフル・プア榎田尤利/著 ビーボーイノベルズ 簡単に言えば、吝嗇家攻め×清貧受けです。清く正しく慎ましくを地で行くような美貌の貴族。今時、こんな潔い生活する人間、いないだろうな。貧乏に困っているけど、恥じているわけではない....
2008/06/09(月) 16:55:13 | 桃の楽園