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481301174837℃
杉原理生 / 北畠 あけ乃
大洋図書
SHYノベルズ 2008-05-24

by G-Tools

「悪いんだけど、俺をしばらく泊らせてくれないか」
銀行に勤める野田に突然掛かってきた数年ぶりの電話。
それは大学時代の野田の秘密を共有する男、若杉からだった。
泊ることを了承してしまえば、面倒なことになる・・・そうわかっていながら、野田は頷かずにはいられなかった。
とっくに終わったはずの関係だ・・・
それなのに・・・?
静かな熱病のような恋が始まる――。

若杉(わかすぎ・34歳)×野田(のだ・32歳)
劇団員・脚本家×既婚の銀行員
再会もの。

大学時代、共通の友人を介して知り合った野田と若杉。
自分の家を持ちながら、ほとんどをその時つきあっている相手の家に転がり込んでいた若杉は、野田の元を訪れるようになり、やがて二人は関係を持つに到ります。

野田は自分の性癖に気づきながらもそれを正面から認めることができずにいました。対して若杉は、自然にそういうことを受け入れているタイプで、また好きになった恋人には優しくしたい、ベタベタしたい・・・と情の濃い男です。
しかし、自分の行為をどこか『罪』のように感じ、罰せられることで安心を得ようとする野田は、若杉にサディスティックな行為を要求します。
そんな二人の温度差はやがて破綻を呼び、別れることになる。
そして10年後、結婚したものの子供を作ることができず妻とは別居状態の野田の元に、若杉から「しばらく泊めてくれないか」と電話があり、野田はそれを受け入れて、再び二人の同居が始まります。
やがて二人の関係は再び・・・・。


もともとは某作家さんと合同の同人誌に書かれたお話に書き下ろしをつけたもののようです。
同人誌よりは年齢を下げたそうですが・・・・内容が変わっているのかどうかは私はわかりませんが、本作を読んだ印象では、主人公たちはもっと上の年齢のような印象を受けました。
読んでいるあいだ、ジリジリした焦燥感というか、不穏な感じがずっとしてました。
平熱ではなく、かといって高熱でもない、『微熱』がず~っと燻っているような感じなんですね。なるほど『37℃』。私は37℃になったらフラフラして起き上がれませんけども。

“温度”ということで言えば、若杉と野田には大きな温度差があって、簡単に言えばお話が進むうちに野田の方が上がってくるわけですけど、グワッと上がって昇華するんじゃなくて、ジリジリジリジリ身体の中で発火する・・・という感じ。
主語が野田視点の「私」で語られ、心の奥にある病に鬱屈したような心理描写が続くので「開放感」とは真逆です。
そして淡々としていて冷めた印象なのに、「低温火傷」を起こしそうな熱がお話を通してずっと感じられる。

正直に言えば、物語の主人公として、野田は好きなタイプとは言えないですけどね(笑) 
大学時代、贖罪のようにSM行為を求める気持ちは理解はできても共感はできないんですが、再会後の野田には理解以上のものは感じます。
若杉はどちらかというと恋愛体質で、きめ細かい情を示す優しい男という感じがします。

ラストは憂いないハッピーエンドではないんですね。
でも、ここまでグジグジ(笑)した結果覚悟を決めたんだから、野田は大丈夫なように思えます。
情の深い若杉の方が傷つくかもしれないから、持ち前のクールさでグイグイ引っ張っていったらいいんじゃないでしょうか(笑)
こういう人が本当に開き直ると強いと思うな。

ただ、ひと言言わせてもらえば、野田の妻も、新しい恋人がいるのに「そんなこと」しなくたってねぇ。新しい恋人ができてたら女ってもっとドライじゃないかと思ったけど、それは私だけか。
私は別に別れた後意地悪もしないけど、改めて幸せを願ったりような善人じゃないですよ。ただ忘却するだけ(笑)。
文中に、若杉が、別れても相手の幸せを願う・・・というようなことが書かれていたけれど、その方が稀有なことなのかもしれないですね。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。
この作品、同人誌の方も読みましたが、殆ど内容は同じでしたよ。
書き下ろしでの妻の行動はちょっと違和感ありましたね。でもよく読むとすごくプライドが高い女性みたいだから、あくまでも自分から別れたということにしたかったのに、実は違ってたからかなり傷ついたのかなあ、なんて思ったりしました。
あと各章の終わり方が好きでしたね。
「離さない」「迷わない」と否定形で続いて最後に「そばにいる」と肯定形になってるので、あまりハッピーな終わり方じゃないのにちょっとだけ明るさが見えるというか。

ごめんなさい、長いコメントになってしまいました。こーゆーの、自分のブログで書けってハナシですよね(^^;)
でも読み終わって間隔が開くとまた新たな感想が浮かんだりというのもたまにあったりして。

ではでは本当にお邪魔しましたm(_ _)m
2008/06/14(土) 20:15 | URL | かりんこ #-[ 編集]
>かりんこさん
こんにちは、かりんこさん。

じゃあ年齢を下げただけなんですね。
もっと上の方がしっくり来る感じだったんですが。

>プライドが高い女性みたいだから、あくまでも自分から別れたということにしたかったのに、実は違ってたからかなり傷ついた

確かにそういう気持ちもあるかもしれませんね。
でも、それで衝動的にああいうことをしてしまうほどの『気の強さ』を考えると恐ろしい(笑)
でも今後彼らにとっては本人よりお母さんの恨みの方がもっと恐ろしいかもしれません。

章を追うごとにジリジリとジワジワと野田が肯定的になっていくんですけど、その「ジリジリ感」がまさに熱が籠って発火してるみたいな感じがしてました。

そうそう、間隔が開いたり、他所様の感想を拝見したりすると、すぐには言葉にならなかったことが、まとまってきたりしますよね~。
別に字数制限もないみたいなので、好きなだけ書いて下さっていいですよ(笑)
いつもありがとうございますv
2008/06/15(日) 07:06 | URL | mimu #-[ 編集]
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