![]() | 年下の彼氏 菱沢九月 / 穂波ゆきね 徳間書店 キャラ文庫 2008-05-23 by G-Tools |
「俺の彼氏になって下さい」――七つも年下の大学生に告白された、塾講師の石田楓。賢い大型犬のように優しく頼もしいバイトの鴻島涼平に、密かに片想いしていた楓は、喜びより戸惑いに混乱する。
始まったものには、いつか必ず終焉がくる…。甘い蜜月の中で、楓はひとり予感に怯えるが!?
諦めていた恋が成就する、嵐のような幸福と不安――恋愛の光と影を繊細に綴る、純愛ラブストーリー。
始まったものには、いつか必ず終焉がくる…。甘い蜜月の中で、楓はひとり予感に怯えるが!?
諦めていた恋が成就する、嵐のような幸福と不安――恋愛の光と影を繊細に綴る、純愛ラブストーリー。
鴻島涼平(こうじまりょうへい・20歳)×石田楓(いしだかえで・27歳)
大学生、塾のバイト講師×塾講師
けっこう分厚い本なので、じっくり読み応えありました。
で、すごく好きな話だった!
塾講師の楓は、アルバイト講師でカナダに留学中の大学生・鴻島に、留学前から片想いをしていました。留学時代も鴻島は頻繁にカナダでの出来事を報せるメールや写真を送ってくれてたんですね。
そして留学期間を終え、鴻島が帰国。
告白するつもりのない片想いを抱えながらも、以前と同じ穏やかな日々が戻ってくる・・・と思いきや、突然現われた、楓の高校時代の先輩で元恋人の辻(つじ)の存在がきっかけとなり、予想外にも鴻島から好きだと告白されてしまいます。
「彼氏になってください」と言われ、恋人同士になるものの、二人の恋愛はとてもゆっくり。
鴻島は本当にとてもかしこい良いワンコで、丁寧に丁寧に、それはもうじれったいほど丁寧に鴻島を大切に愛します。Hもいきなりなだれ込んだりしないんだよ(笑)。
ひとつひとつ段階を追って、日にちをかけて、ゆっくりゆっくり慣らしていく。気持ちの上でも身体の上でも本当に大切にしようとしているのが伝わってきます。
しかし、ただそれだけなら甘くて優しい恋で結構だけど、そうはいかず、楓の後ろ向き思考が二人にブレーキをかけます。
「後ろ向き」な受はそう珍しいものではなく、しばしば大した根拠もないマイナス思考で臆病になっているタイプには苛々させられるのですが、この楓はちょっとそういうタイプの後ろ向きとは違っていたと思います。
楓は両親を小学生の頃に事故でいっぺんに亡くしています。
その後、楓の妹・菜桜(なお)とともに祖父母に育てられますが、やがて祖母が亡くなり、菜桜は外国に嫁ぎ、そして祖父が亡くなって、家族で暮らした家に、楓はひとりきりになります。
家のそこかしこには暖かい思い出が満ちているけれど、そこにいたはずの人たちは皆、楓をひとり置いて通り過ぎていきました。
残っているのは幸せな思い出だけで、その経験が、楓に「幸せもいつか終わるもの」という“達観”を植えつけてしまったんですね。
それに加えて、妹を嫁に出し、祖父母も無事送り出して、自分のやるべきことは全部やった、ともう完全に余生を送る老人みたいになっちゃってる。
なんだか楓は後ろ向きというより心に大きな「空洞」を抱えているという感じがして、たやすくは埋められないそれを読んでいる間ずっと感じていて、楓がそこまで臆病なのが、なんだか辛くて悲しかった。
だけど、ワンコ鴻島はあくまで一途に優しく暖かく石田をメロメロにしてくれるし、石田も穏やかで優しい、可愛らしい人なので、とても甘いお話でもあるんですよね。
ゆっくりゆっくり愛を育んでいく過程が、さすが厚みがあるだけあって丁寧に書かれていて、とても良かったです。
楓も魅力的だし、かしこいワンコだけど不審者(辻)には吼えてしまうところも年下ワンコ攻のお話らしい。
脇役陣も素敵でした。
兄を叱咤激励する妹はもちろん。
そして楓の元カレの先輩・辻、塾のオーナーで40代の須藤(すどう)がどっちも捨て難い。
穂波さんのイラストも大好きなので、これは満足の一冊でした。
大学生、塾のバイト講師×塾講師
けっこう分厚い本なので、じっくり読み応えありました。
で、すごく好きな話だった!
塾講師の楓は、アルバイト講師でカナダに留学中の大学生・鴻島に、留学前から片想いをしていました。留学時代も鴻島は頻繁にカナダでの出来事を報せるメールや写真を送ってくれてたんですね。
そして留学期間を終え、鴻島が帰国。
告白するつもりのない片想いを抱えながらも、以前と同じ穏やかな日々が戻ってくる・・・と思いきや、突然現われた、楓の高校時代の先輩で元恋人の辻(つじ)の存在がきっかけとなり、予想外にも鴻島から好きだと告白されてしまいます。
「彼氏になってください」と言われ、恋人同士になるものの、二人の恋愛はとてもゆっくり。
鴻島は本当にとてもかしこい良いワンコで、丁寧に丁寧に、それはもうじれったいほど丁寧に鴻島を大切に愛します。Hもいきなりなだれ込んだりしないんだよ(笑)。
ひとつひとつ段階を追って、日にちをかけて、ゆっくりゆっくり慣らしていく。気持ちの上でも身体の上でも本当に大切にしようとしているのが伝わってきます。
しかし、ただそれだけなら甘くて優しい恋で結構だけど、そうはいかず、楓の後ろ向き思考が二人にブレーキをかけます。
「後ろ向き」な受はそう珍しいものではなく、しばしば大した根拠もないマイナス思考で臆病になっているタイプには苛々させられるのですが、この楓はちょっとそういうタイプの後ろ向きとは違っていたと思います。
楓は両親を小学生の頃に事故でいっぺんに亡くしています。
その後、楓の妹・菜桜(なお)とともに祖父母に育てられますが、やがて祖母が亡くなり、菜桜は外国に嫁ぎ、そして祖父が亡くなって、家族で暮らした家に、楓はひとりきりになります。
家のそこかしこには暖かい思い出が満ちているけれど、そこにいたはずの人たちは皆、楓をひとり置いて通り過ぎていきました。
残っているのは幸せな思い出だけで、その経験が、楓に「幸せもいつか終わるもの」という“達観”を植えつけてしまったんですね。
それに加えて、妹を嫁に出し、祖父母も無事送り出して、自分のやるべきことは全部やった、ともう完全に余生を送る老人みたいになっちゃってる。
なんだか楓は後ろ向きというより心に大きな「空洞」を抱えているという感じがして、たやすくは埋められないそれを読んでいる間ずっと感じていて、楓がそこまで臆病なのが、なんだか辛くて悲しかった。
だけど、ワンコ鴻島はあくまで一途に優しく暖かく石田をメロメロにしてくれるし、石田も穏やかで優しい、可愛らしい人なので、とても甘いお話でもあるんですよね。
ゆっくりゆっくり愛を育んでいく過程が、さすが厚みがあるだけあって丁寧に書かれていて、とても良かったです。
楓も魅力的だし、かしこいワンコだけど不審者(辻)には吼えてしまうところも年下ワンコ攻のお話らしい。
脇役陣も素敵でした。
兄を叱咤激励する妹はもちろん。
そして楓の元カレの先輩・辻、塾のオーナーで40代の須藤(すどう)がどっちも捨て難い。
穂波さんのイラストも大好きなので、これは満足の一冊でした。
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。
この本、すごく気になっていたんですよね。イラストも感じ良いし。
mimuさん、お薦めですか?
>ゆっくりゆっくり愛を育んでいく過程が、さすが厚みがあるだけあって丁寧に書かれていて・・・
mimuさんのこのコメントに食いつきました(笑)
私もゲットして読んでみようと思いますvv
この本、すごく気になっていたんですよね。イラストも感じ良いし。
mimuさん、お薦めですか?
>ゆっくりゆっくり愛を育んでいく過程が、さすが厚みがあるだけあって丁寧に書かれていて・・・
mimuさんのこのコメントに食いつきました(笑)
私もゲットして読んでみようと思いますvv
こんにちは、桃さん。
もう買っちゃいました?
まだでしたら、よければご連絡下さいな(笑)
いかにも「私が好きそうな」お話で、桃さんもきっとそう思われると思います(笑)
菱沢さんは地味めだけどもともと好きですし・・・。
派手な設定はない日常BLですけど、おっとり美人と賢いワンコのスローな恋愛がツボでした~v
もう買っちゃいました?
まだでしたら、よければご連絡下さいな(笑)
いかにも「私が好きそうな」お話で、桃さんもきっとそう思われると思います(笑)
菱沢さんは地味めだけどもともと好きですし・・・。
派手な設定はない日常BLですけど、おっとり美人と賢いワンコのスローな恋愛がツボでした~v
2008/06/19(木) 16:15 | URL | mimu #-[ 編集]
こんばんは~みむさん!
これ、迷って予約しなかった作品だった気がします。
でも、なかなか良いお話みたいですね?
なんか、私なら普通に妄想出来そうな設定(笑)
う~ん・・・次回、お願いしても良いですか?
これ、迷って予約しなかった作品だった気がします。
でも、なかなか良いお話みたいですね?
なんか、私なら普通に妄想出来そうな設定(笑)
う~ん・・・次回、お願いしても良いですか?
2008/06/21(土) 00:24 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
こんにちは、水月さん。
私は結構好きでしたよ。
地味めですけども(^^ゞ
水月さんには設定がちょっと身近な感じがしますよね(笑)
もしよかったら次回どうぞ!
ちょっと厚めですけど、じっくりゆっくり読んでいただいて良いですので。
私は結構好きでしたよ。
地味めですけども(^^ゞ
水月さんには設定がちょっと身近な感じがしますよね(笑)
もしよかったら次回どうぞ!
ちょっと厚めですけど、じっくりゆっくり読んでいただいて良いですので。
2008/06/21(土) 08:10 | URL | mimu #-[ 編集]
こんにちは、mimuさん。
読みました。ちゃんと恋愛小説を読んだなあという気になれました。丁寧なお話ですね。
>完全に余生を送る老人みたいになっちゃってる。
ホント、始まる前から全てを諦めて達観しているような楓。でも暗いというより切ないという感じがしました。今までの人生、自分のことは全て後回しにしてきたんですね。
攻めは、すごく好感持てました。いい青年ですよね。きっと楓は幸せになれると思います。
いや、お借りして良かったですvv
ありがとうございました~!
読みました。ちゃんと恋愛小説を読んだなあという気になれました。丁寧なお話ですね。
>完全に余生を送る老人みたいになっちゃってる。
ホント、始まる前から全てを諦めて達観しているような楓。でも暗いというより切ないという感じがしました。今までの人生、自分のことは全て後回しにしてきたんですね。
攻めは、すごく好感持てました。いい青年ですよね。きっと楓は幸せになれると思います。
いや、お借りして良かったですvv
ありがとうございました~!
こんにちは、桃さん~。
お気に召していただけましたか?
それは良かったですv
>暗いというより切ないという感じ
そうなんですよね。
普段あまりに後ろ向きな受には苛々することもあるんですけど、楓の達観がすごく深いので「こんなに愛されてるのに…」って切なくなっちゃいました。
攻めは真っ直ぐでいいですよね~。
そして脇のオジサマと当て馬先輩も素敵(笑)
充実した一冊でしたねv
TBありがとうございま~すvv
お気に召していただけましたか?
それは良かったですv
>暗いというより切ないという感じ
そうなんですよね。
普段あまりに後ろ向きな受には苛々することもあるんですけど、楓の達観がすごく深いので「こんなに愛されてるのに…」って切なくなっちゃいました。
攻めは真っ直ぐでいいですよね~。
そして脇のオジサマと当て馬先輩も素敵(笑)
充実した一冊でしたねv
TBありがとうございま~すvv
2008/07/02(水) 05:47 | URL | mimu #-[ 編集]
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年下の彼氏 (キャラ文庫 ひ 2-7)菱沢 九月 /著 キャラ文庫すごく気になりながら買い損ねた本ですが、mimuさんに貸していただきました。ありがとうございます臆病で悲観的な受け君と、明るくて真っ直ぐな年下の攻め君。ゆっくり優しい愛を育てて行きます。本は分厚い....
2008/07/01(火) 18:44:50 | 桃の楽園