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4062865548帝都万華鏡 巡りくる夏の汀に
鳩かなこ / 今 市子
講談社
X文庫ホワイトハート 2008-06-05

by G-Tools

こんな人には二度と会えない――。
横山春洋は日本画の画匠に、岡野紘彦は帝大生として家業を手伝う身となっていた。離れていた時間を惜しむように春洋に溺れる紘彦。帝都での二人の蜜月は、永遠に続くかのように思われた。
しかし、紘彦の兄の死をさかいに、ふたたび引き裂かれることに――。

岡野紘彦(おかのひろひこ・24~27歳)×横山春洋(よこやまはるみ・28歳~31歳)
材木屋次男×日本画家

帝都万華鏡シリーズ三作目。
話は『帝都万華鏡-梔子香る夜を束ねて-』の続編、2年後になります。二作目のカップルのお話。
時系列でいうと、一作目の受の妻がまだ存命中の頃。

前作後、蜜月を過ごす二人。
春洋は、京介(一作目の攻)の勤める雑誌社で琢馬(一作目の受)の詩の挿絵を描く以外にも、日本画家として名が売れ始めたところです。
帝大生となった紘彦は、家業の後継は長兄に任せ、自分は建築家として家業に関わっていく夢を抱き勉強中。そして経営全般を仕切る兄とは違って、現場に顔を出し、現場の仕事も学んでいます。
春洋は素直なタイプではなく、また吉原の廓の生まれがどうしても春洋の心の奥に影を落として、幸せになることを良しとしていないところがあるのですが、紘彦には心底惚れています。
紘彦はそんな気持ちを深く理解し、全てを受け止めるにはまだちょっと若い。
春洋の心の影を漠然と感じ、そばにいるのに遠くにいるような気を抱きながら、それでも春洋に溺れきっているという感じでしょうか。

しかし蜜月には変わりなく二人は穏やかな日々を送っていますが、ある日、紘彦の兄が荷馬車に轢かれて急死したことで、紘彦の境遇が一変します。
というか、紘彦は今までどおりにしていくつもりでしたが、周囲と春洋がそうは見なかった。
この時代、妻子ある兄が急死したとき、弟がその妻と再婚して家業を継ぐ・・・というのが珍しいことではなかったんですね。
周囲は当然のように、紘彦が兄の妻と結婚して甥の父となるのではと噂する。そして紘彦の父もそれを望んでいる。
葬式でそれを耳にした春洋は、別れを決心し、紘彦にもう終わりにしようと告げます。
春洋の担当の編集者を当て馬に使って、紘彦を遠ざける春洋。
本当は紘彦に惚れているのに、強がる春洋が切ないです。

その辺りまでが第一章で、第二章はその3年後。二人はまた3年も離れてしまうんですね。
甥が6歳と成長し、絵の好きな子供のために紘彦の父が日本画家として名の知れてきた春洋に絵の教師を頼んだことから、春洋はひと月に3~4度、紘彦の家に通ってくるようになる。
紘彦は義姉とは結婚せず、大学を卒業した後、「甥が成長して跡を継ぐまでの繋ぎ」と決めて仕事をしています。
父からは相変わらず、義姉と結婚して・・・と勧められていますが断固として断っている。春洋への想いは少しも冷めておらず、しかし再会後もつれない春洋とは、微妙な距離を保ったまま。
そうやって、どうにもならない焦れたような日々を送るある日、そんな二人の関係を一挙に覆す出来事が起きる。

この第二章の終わりでは、はっきり書かれてはいないんですが、もしかして、紘彦が父や義姉に春洋のことを・・・?と思わせる締めでした。
終章で「家族ってのはありがたいもんだな」とつぶやく紘彦の言葉が、その告白が受け入れられたことを示しているように受け取れて、こちらもまた出合って10年余りという長い年月を過ぎて幸せを掴んだ二人に、感慨を覚えます。


一話ずつ独立した話として読めるように書いた…とあとがきにはありますが、はっきり言ってそれはちょっと無理があると思います。
一作目のカップルも登場していて、またまた京介の無償の愛に哀しみを感じさせられます。このあたりの、登場人物の愛の深さや切ない空気は、前々作を読んでいないと掴みとれません。
紘彦と春洋にしても、紘彦が16歳で出会って、そして27歳の大人になり、春洋の隠れた本音が見えるようになる静かな成長は見えないと思うし、春洋の生家が少年の春洋に、その人格にどう影響したかも、前作を読まないと掴めないのでは…。

相変わらず文章に関しては、ページをめくると字がみっしり(笑)。
情景描写が能弁に語ります。
しかし、本当に大好きなんですよね。文芸調の凝った文章もだけど、このシリーズも。イラストも本当にピッタリですしね。
三冊までくるとは思わなかったんですが、次はどうくるのかなー。
待ちきれないのでまた一作目二作目を再読しています。
おかげで頭の中が大正にワープしています。
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