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残酷な逢瀬
いおか いつき著 / 佐々木 久美子イラスト
ワンツーマガジン社
アルルノベルス(2007.3)


山藤商事次期社長・真人は、深夜麗しい男に突然押入られ、 強引に貫かれてしまう。真人の妻から依頼され、ゲイかど うか確かめるというその男は、新宿No.1ホストの羽鳥千陽だった。真人の艶やかな肉体に魅せられた千陽は、その 夜以降、何度も情事を強要してくる。陵辱された過去を持 つ躯は、快楽に流され剥き出しの欲望を暴かれてしまう。
だが、優しい愛撫に変わりはじめた逢瀬は甘く、過去の疵 跡を真実の愛に変えていき……。
羽鳥千陽(はどりちあき)×大場真人(おおばまこと・32歳)
ホスト×エリートサラリーマン
千陽の年齢はわかりませんが、20代前~中半くらい。年下攻めです。


32歳にして商事会社の企画営業部部長の真人。妻は社長令嬢で、将来も次期社長は固い…というエリートです。
しかし、実際の真人は、両親を亡くした後引き取られた先で従兄弟に強姦され、従兄弟が交通事故で亡くなるまで陵辱され続けたという過去を持っています。それ以来心が壊れたようになった真人は、心を閉ざし友人や恋人を作ることもせず、ただ仕事だけに没頭するしか人生を生きる術を持たないでいるのです。そして、過酷な人生に抵抗する気力もなく流されるままに生きることが身についてしまっています。
結婚も愛があってのことではなく、甘やかされて育ち、我が儘で遊びの過ぎた娘・優衣(ゆい)が、父親のわからない子を身ごもり、それを知った社長から頼み込むようにされて、結婚したのです。妻がいて、子供が生まれて、「家庭」という形ができれば、真人にとってもそれは何某かの救いとなるかもしれないという気も真人には多少あったようです。

しかし、結婚して二ヶ月で優衣は流産。
もともと愛のない結婚でしたから、形になるはずだった家庭が消えたあとは、二人は夫婦としてさえ成り立ちませんでした。
優衣の遊びや浪費がまた始まり、しかし真人は干渉せず、同じ家にいながらお互いを避けるようにして暮らし、実は夫婦生活もこの夫婦には一度もありません。夫婦生活どころか、実は真人は女性経験はないんですけどね。

そんな中で、優衣が入れ込んでいたホストの千陽が、「夫が不能かゲイか確かめて欲しい」という優衣の頼みを聞いて、真人が寝ているマンションに入り込み、真人を強姦します。
一度で終わると思っていたのですが、それから千陽は一日おきに真人の携帯に電話を寄こし、SEXを強要するようになります。「ゲイだと知られたくなかったら」という脅しによってなんですが、真人は別に人生になんの期待も抱いていないし、妻との関係は破綻しているので、知られたところで本人は別に構わないわけです。
それなら突っぱねればいいんじゃないかと思うんですが、高校時代の陵辱の記憶が真人から覇気の全てを奪い取っていて、大した抵抗もないままに流されて関係を受け入れてしまうんですね。

ここまで心が凍ってしまった事情はわかるんですが、その流され体質がなんとも歯がゆくてたまりませんでした。
そして攻めの千陽ですが、自分の上客に「夫を犯せ」と言われて、そのとおりにするということだけで、その中身の程度が知れるじゃないですか。
千陽って全然魅力的には思えなかったんですよ。「何もかもが上手くいき過ぎて人生に飽きた」なんて、20数年しか生きてないのにちゃんちゃら可笑しい。千陽があと60年生きてもそう言ったら認めるけど。
そして、真人の妻の優衣がまた、最悪の女です。いや、女を怒らせると怖いというべきか。敵役であるので容赦なく書かれているのは仕方ないのですが、彼女の気持ちを考えても、ちょっと同情はしづらいところがあります。

話がつまらないとかいうことではなくて、根本的に主人公たちに好意が抱けませんでした。
たとえこんな形で始まった関係が、真実の愛を産むとしても。

しかし実際はかなり短時間で読めてしまったので、読みづらくて度々止まってしまう話や、途中で投げてしまう話よりも、ずっとマシだったと言うべきだと思います。
お話が終わっても、妻には全然救いはありませんが、二人には多少の救いはあります。ラストは、自分というものが定まってない二人にはピッタリ。
人生に飽きていた千陽は人生につまずいて大切なものに出会い、人生を諦めていた真人は、人生に微かな光を見つけた・・・と言う感じなんでしょうか。ここから先、二人は今までとは違った気持ちで人生を生きていくのでしょうね。

登場人物が好きになれなくて、お話の雰囲気も同様でした。
私の好みではなかったです。
だけどラストの締め、数行だけは、けっこう好きです。

いおかさんのあとがきによると、いおかさんの中では「暗さMAXレベル」だということですよ。これは暗いっていうのかな?
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