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4403521924ビター・スイート・レシピ
月村奎 / 佐倉ハイジ
新書館
ディアプラス文庫 2008-07-10

by G-Tools

一年近くひきこもりを続ける健太。亡き祖母の住居兼店舗で、現実逃避にレース編みをしてひとり暮らしている。
そこへある日、宇佐見という男が訪ねてきた。長くシャッターを下ろしたきりのこの店で、焼菓子専門店を開きたいというのだ。
店を貸すことになった健太は、夢と希望に満ちた宇佐見のペースに巻き込まれるうち、彼に惹かれている自分に気づき……?
宇佐見祥嗣(うさみしょうじ・30歳)×大森健太(おおもりけんた20歳)
パティシエ×ひきこもり青年

「ビター・スイート・レシピ」雑誌掲載
「セミ・スイート・レシピ」書き下ろし の二編。

小さな頃から親の期待に答えようと、本来の内気で不器用な自分とは正反対の自分を演じ、勉強も頑張ってきた健太は、大学受験に失敗したと同時期に好きだった祖母が亡くなったことで張り詰めた心の糸が切れ、それ以来一年以上、祖母の残してくれた元手芸店だった店舗兼住居で、一人ひきこもり生活を続けています。
家からはほとんど出ず、子供の頃祖母に習ったレース編みを、何の目的もなく、手慰みの暇つぶしに延々と編んでは出来上がった作品はゴミのように放り出す日々。
髪は伸び放題、格好は上下ジャージの着たきりスズメ。
歯科医である年の離れた優秀な兄が時折り訪れては、容赦のない罵倒と叱咤激励を浴びせ、健太の自信をさらに根こそぎ奪って帰っていく。

そんなある日、突然やってきたいい男が、今はシャッターを下ろしたままの祖母の店を借りたいと言って訪ねてきます。
そこで焼菓子店を開きたいという宇佐見をうまく断り切れず、店を貸すことになってしまいますが、明るく人懐こい宇佐見は引きこもりで無口な健太を物ともせず、親しく接してきます。
そして「菓子店を開く」という夢を叶え前向きに働く宇佐見と接し、優しい宇佐見に自分の気持ちを吐露するうちに、健太はいつのまにか宇佐見に惹かれていきます。
しかしその気持ちを自覚した時、大家と店子そして男同士ということで、宇佐見に迷惑をかけると思い込んだ健太は、宇佐見と離れようとしますが――。


と、こんなお話。
雑誌掲載分は読んでました。
住居兼店舗で、店側から引き戸を開けると高くなった奥の部屋は居間だったりして、客の気配に居間に置かれた炬燵からおばさんがのっそり立ち上がって来る・・・なんて光景は、昭和の昔の頃によくありました。子供の頃に通っていた本屋がこの形だったし、現在近所にある駄菓子屋は今もこんな構造。最近では立て直されたり、そういう形態の店はつぶれてしまったりであまり見なくなったかもしれませんが、ちょっと懐かしい。
そんな古い店舗に、健太の編んだアンティークにも見えそうなレースの飾り。舞台はちょっとレトロでいい感じです。
それからその『レース編み』。
最近はやらないけど、去年おととしあたりはマイブームの高波が来てて私もやりましたので、健太のレース編みは興味ある話題。現在は波は引いていて糸も編み針もしまいこんであるけど、読んでいたらまたちょっとやりたくなった。夏にはむかないのでやらないけど(笑)。
そして男前が作る美味しそうな焼菓子。
惹かれる要素はたくさんありました。

でも、そういうものをそぎ落としてみると、健太の後ろ向きネガティブ思考はかなりキてましたね。これは結構嫌われるタイプのグジグジ受・・・。BLでは珍しくないですけど。
書き下ろしは、私もちょっとイヤだったな・・・(笑)

締めもちょっと微妙で、「編み物の貴公子」を目指すと言われたら笑ってしまいそうだけど(笑)、「別に先生になりたいわけじゃない」とテンションの低いことを言われてしまうのも、なんだか覇気がない。
別にお兄さんみたいに尻を叩きたいとは思わないし、長い人生のうちの数年くらいゆっくり立ち止まってもいいと思いますが、「この子はどこへ行くのかな~」と気になるのも正直なところ。
だけど、宇佐見は御菓子、健太はレースでお店に花を・・・なんてことにしなかったところはいいと思ったんですけどね。
少しずつ歩き出そうとするスタート地点が物語の終わり。
そういうのもありだとは思いますが。
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