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親友のリミット
池戸 裕子著 / 角田 緑イラスト
リーフ
リーフノベルズ(2007.3)


全てが正反対、けれど誰より近い存在――幼馴染で親友・滝への想いに悩む芳野はある日、彼の結婚話を聞かされる。10年前に夏の日、一度だけ友人の域を越えそうになって以来、2人は友情と恋情のきわどいバランスを保った関係を続けていたのだ。
最高の親友でい続けるか、告白して恋人となることを望むか・・・答えの出ない芳野の前に2人の過去を知る男が現れ、危うい関係に終止符が打たれる…。
滝京一(たききょういち)×芳野巧(よしのたくみ)
28歳同士、幼馴染。

先日の池戸さんには大萌えしたんですが、こちらは微妙でございました。

小学5年生の時、滝が転校してきて以来、二人は成績も性格も正反対ながら、ずっと親友同士でした。
しかし、二人とも相手に友情以上の気持ちを密かに募らせていたのです。それを決定的に芳野に意識させたのが、高校生の時知りあった、繁華街をフラフラしていて危険な香りのする10歳年上の浅見(あさみ)という男でした。
浅見とは、滝と芳野3人でよく遊んでいたのですが、ある日、浅見は「自分で組を持ったら、二人(滝と芳野)をそばに置き、どちらか一人には夜の相手もしてもらう」と言い、その場で滝を選んだのです。
そして、その後、芳野は突然訪ねていった浅見のアパートで、浅見に組み敷かれる滝の姿を見てしまいます。

実際その時滝が浅見に何かをされたわけではないのですが、その出来事は二人の間に微妙な波紋を広げます。そしてその後、二人で行った自転車旅行で、均衡が崩れ、二人はたった一度だけsexの真似事をしてしまいます。
しかし、二人は愛情と友情の境界線で、この時は友情を選ぶんですね。

浅見はそれから突然姿を消し、滝は大学へ進みそのあとは目指していたとおり弁護士に、芳野は高校を卒業して、フリーのライターとなります。
10年経った今も、芳野は滝への想いを抱え続けています。そしてもう一度、滝に告白しようと決心した矢先、滝が突然見合いをして結婚すると言い出します。

友情でしっかり結びついている二人が、やがてその思いが少しずつ愛情に近づいて、一線を越えようか、越えまいか悩む・・・。視点の芳野側だけでなく、滝も芳野に友情以上の気持ちを抱いていることはわかるし、親友という位置でずっときた二人のジリジリと揺れる想いなんて、なんだかとっても面白そうと思ったんです。
ありがちだけど、好きなパターンですし。

ところが、二人の間にもう一人、再び浅見が入り込んで、予想していたのとは違う方向に話が流れていきます。
この浅見、10年経って、やり手の社長として現れるんですが、後ろ暗い人には言えないようなことをたくさんしてきた食えない男。そして、滝と芳野を自分の両側に置いた、男ハーレムを狙ってるんですよ…。仕事上もですけど、ベッドも込みの。

どうやら10年前、浅見は滝の秘密を握り、それによって滝を自分の思うように動かそうとしていたようだというのがわかってきます。そして、10年経った今でも、その秘密は滝に効果を持っていて、浅見は芳野を「滝は昔から俺のものだ」と挑発します。
滝の秘密とは、芳野を愛している滝が芳野には決して知られたくないことで、滝は浅見から芳野を遠ざけるために、自分から浅見の元へ行こうとします。しかし、浅見はその滝を使って、芳野まで手に入れることを画策している。
二人の恋の運命は、浅見にがっちりと握られてしまっています。

あれ?・・・親友同士の揺れる切ない秘恋は・・・?
確かにそういう部分もあるんだけど、なんだかどんどん私の期待する方向とは話が逸れていきます。ありきたりな展開とはちょっと違うパターンということで、意外性は十分ですが、ハッキリ言って、何なのこのオッサン(浅見)。邪魔です。
元々あくどいことをしてきた男なので、常識が通じるはずもないんですが、「かっこいい」とか言ってますけど、この38歳無精ひげの不遜なオヤジは、全然かっこよく見えませんでした。イラストみても疫病神にしか見えないです。

滝の秘密は、確かに芳野への強い愛情を感じさせるものなんですが、結局は自分の汚い部分を知られたくないという利己的なものでもあるわけで、微妙なんですよね。誠実な男なら、まして弁護士なんだから、さっさと白状して許しを請えば良かったのに。人一人の人生を変えてしまったという、たとえそれが大きな罪だったとしても、芳野を信じれば良かったのにね。それか、全て告白して、親友の位置からも身を引くくらいの決心があれば良かったのに。そうすれば、芳野ならちゃんと受け止めてくれたと思う。変なオッサンに目をつけられても、ビクビクしなくてすんだのに。

ありきたりでいいから、友情と愛情の狭間で揺れる親友同士の微妙で切ない空気を楽しみたかった私としては、う~む…という感じでした。
期待した方向と違うからといって、池戸さんが悪いわけではないので、単に好みと合わなかったということなんですけど。あ、攻めが後を狙われるというのは、ちょっと好きかも(笑)。

で、ハーレムの夢破れた浅見は、まだ二人につきまとって何をしたいんでしょうか。浅見の心が私にはいまいちわかりません。二人もまだコイツと友達つきあいしてるなんて…。弱みを握ったんだから、さっさと切った方がいいと思うんですけど。身上はカタギですけど、限りなく闇に近いカタギなんて、また面倒ありそう。というか、このかたが二人の周りをウロチョロしてると思うと、他人事ながら鬱陶しいです。
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