![]() | 帝都万華鏡たゆたう光の涯に 鳩かなこ / 今市子 講談社 X文庫ホワイトハート 2008-09-03 by G-Tools |
三十路に入り、編集者として多忙な日々を送る高市京介と、詩人としての地位を得つつある石木琢馬。しかし琢馬は、まだ誰にも告げられぬ事実を胸に秘めていた。
変わらないはずの世界が、すこしずつ歪んでいく――不安を抱える琢馬の前に突然現われた京介の後輩、美作重三郎。美作の挑むような視線に琢馬は心惑わされる。
そして予想だにしない事件が彼らを襲う。
濃艶なる大正浪漫シリーズ、いよいよ最終章!
変わらないはずの世界が、すこしずつ歪んでいく――不安を抱える琢馬の前に突然現われた京介の後輩、美作重三郎。美作の挑むような視線に琢馬は心惑わされる。
そして予想だにしない事件が彼らを襲う。
濃艶なる大正浪漫シリーズ、いよいよ最終章!
高市京介(たかいちきょうすけ)×石木琢馬(いしきたくま)
編集者×詩人、一高元同級生
「帝都万華鏡シリーズ」は再び京介×琢馬に戻ってきました。
紘彦(ひろひこ)×春洋(はるみ)とでは、どちらかというとこちらの方が好みかなぁ・・・?
お話はどっちも面白くて好きですけど、キャラの性格的にということですが。
恋人同士となった京介と琢馬は忙しいながらも甘い逢瀬を重ねているのですが、「恋人」となったからといって不安も心配も一切ない・・・というわけにはいかないのは当たり前ですね。
琢馬自身、「詩が書けない」といういわゆるスランプのようなものに陥り、その初めての事態に京介にも打ち明けられずに不安を抱えているところへ多忙の京介とは逢えない日々が続き、そこへ京介の見合いの噂、そして京介の帝大時代の後輩・美作(みまさか)が二人の間に割り込もうとしてくる。
視点が変わるためどういう事態になっているのかは読者にはわかるのですが、話し合う時間を持てない二人の気持ちは微妙にすれ違っていくのでハラハラしました。
不安の上塗りと言いましょうか、何かひとつ気にかかることがあると全て悪い方へ悪い方へと考えてしまい、そこへ起きるあらゆることが「凶兆」のようになってしまうんですねー。
それを一挙に解消する「事件」は、ちょっとありがちな展開でしたでしょうか。
京介×琢馬、紘彦×春洋の物語はこれで終止符のようですが、脇に出ていた人物たちにこれから話は広がっていくようです。
田中青年とかかしら(笑)。
それとも伊部(いべ)かな・・・。
伊部は京介の兄と何やら曰くありげなのですが、京介兄が現段階では既婚で子持ち、しかも伊部の勧めた相手と結婚した・・・らしいので、こりゃまた切ない悲恋の香りがします。年齢的にもだいぶ上がりそうですね(笑)
どうなるかわかりませんが、楽しみにしたいと思います。